<全米女子オープン 事前情報◇28日◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇ 6583ヤード・パー70>

前代未聞のプレーオフだった。最終日にトータル4アンダー・首位タイで上がったのは、ともに日本勢の笹生優花と畑岡奈紗。メジャーVの栄冠をかけた3ホールに及ぶ死闘を振り返る。【2021年大会プレーバック】




正規の18ホールで輝きを放ったのは畑岡だった。首位と6打差で出たファイナルラウンドで6バーディ・1ボギー・1ダブルボギーの「68」。難コースを相手に上位勢が伸ばしあぐねる中、リーダーボードを駆け上がって首位タイでホールアウトした。

対する笹生は3バーディ・1ボギー・2ダブルボギーの「73」。1つ落としながらもトップタイでフィニッシュし、空前の日本勢対決へと突入した。

まずは9番と18番を使った2ホールの合計ストロークで行われたが、ともにパーで決着がつかず。勝負はサドンデスのエクストラホールへ突入。9番と18番を繰り返し、最初にホールを取った選手が栄冠をつかむ。

勝負はその3ホール目で決まった。笹生のティショットは左ラフに行くも、2打目をピン手前約2.5メートルへ。対する畑岡は10メートル以上のバーディパットを決められず。落ち着いてパットを決めた笹生が死闘に終止符を打った。

樋口久子、渋野日向子に続く日本女子3人目の快挙。19歳351日での大会制覇は最年少優勝のタイ記録となった。「勝てるとは思っていなかった。(この喜びを)家族に伝えたい。(涙を拭いながら)ごめんなさい…。ファンと友達にありがとうと言いたい。もっと頑張りたい」。歓喜の涙が笹生の頬を伝った。

敗れた畑岡は念願のメジャーVを目前にして、またもつかみきれなかった。「(笹生とは)もうジュニアの時からずっと戦っている。USアマのときに、ベスト16で優花ちゃんに負けている。前から強くて、絶対に上がってくるのは分かっていた」とその強さを誰よりも知る畑岡だけに、素直に勝者を称えた。

ライバルに先を越された悔しさは、もちろんあった。それでも「今週始まる前に調子も上がっていたので、メジャー優勝を目指したかった。プレーオフで負けたのは残念だけど、レベルアップしていると思う」。こみ上げてくる感情を振り払い、悲願成就に向けて顔を上げた。


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