USGA(全米ゴルフ協会)のレポートによると、約7割のゴルファーがプレー時間はその日の満足度に影響を与えると回答しており、プレーのペースの遅延はゴルファーの重大な不満要因となっています。


さらにプレーのスムーズなコースに対しては15%以上のゴルファーが追加の費用を支払う意欲があることも示されており、この問題を解決することでゴルフ場の事業価値は1億円(70万ドル)以上改善されると言われています。

別のレポート(Pace of play modeling)によるとゴルファーの1組あたりの18Hのプレー時間は232分が平均であり、ホール間の移動時間は11分が平均と言われていますから、待ち時間がなくプレーが進めば4時間前後で18Hが終わる計算になりますが、実際には5.12時間が平均的なプレー時間であると示されており、これはゴルファーはコース内で1時間以上の待ち時間を過ごしている計算になります。

プレー遅延の原因はゴルファーの技量やマナーの問題に加えて、コースのデザインやオペレーションにもその原因があると考えられています。

コースのレイアウトで言うと、短いPAR4と長いPAR3で特に待ち時間が発生しており、ゴルフ場はホールごとの距離を適切にコントロールすることでプレーの遅延を防ぐことができることや、2人1組での歩くプレーが1ホールあたり11.3分に対して、2人乗り乗り入れカートによる4人1組でのプレーは1ホールあたり10.6分と、プレー人数が増えてもプレー時間は短縮可能であることが提言されています。

読者のみなさんもご存知のように、来場者数の獲得はゴルフ場にとっては収益確保の至上命題である一方で、混雑によるプレー時間の超過は重要な顧客満足度へ悪影響になります。プレーペースを向上させるための設備投資は、顧客満足と時御者利益という相反する2つの目標を実現するために不可欠と言えるでしょう。

レポート/大矢隆司(ゴルフ活動家)
1980年生まれ。中学卒業後15才で単身オーストラリアへゴルフ留学。ジェイソン・ディら多くのトッププロを輩出するHills Golf Academyで3年間を過ごす。帰国後大学に進学し在学中にゴルフコーチに転向。ゴルフコーチングと並行して会社経営を学ぶためにビジネススクールに通いMBA(経営学修士課程)を修了。国内外でのゴルフビジネスの起業を経て、現在はゴルフビジネスのアドバイザーやPMO、オーナー代理人としてゴルフ場やゴルフ関連企業の顧問を務める

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