最終日にスコアを8つ伸ばす「64」をマークし、3打差を逆転。今季2勝目を飾った岩井明愛。終盤はバンカーショットの上手さが際立った。16番パー4ではセカンドをショートし、グリーン右手前のバンカーへ入れるも、そこからチップインバーディ。また18番パー5でも、セカンドがバンカーにつかまるが、そこからバーディを奪い優勝を決めている。


この2つのバンカーにショットについてプロコーチの南秀樹に話を聞くと、「16番は比較的距離のあるバンカーショット、一方で18番はピンが近いシチュエーション。状況が違う2つのショットを、また18番では1打差で追う小祝さんがイーグルチャンスにつけている中で、完璧な内容。技術の高さ、気持ちの強さを感じました」という。

そんな明愛のスイングからは、我々でも実践しやすいバンカーショットの基本を学びたい。まずはアドレスが大事になる。「コロがすのか、上げるのか、球筋はボール位置で調整します。基本は体の真ん中、コロがす時はボール1個分程度右足寄りに。もちろんフェースもコロがすならスクエア、上げるなら開いて構えます。そして重要なのが、手元は左目の下に置くこと。手元を目標方向に出し過ぎないということです」。ハンドファーストが強いとトップしやすくなってしまう。

クラブの握り方も気を付けたい。「雑巾を絞るように上から握り、ヒジをちょっと緩めてください。左手はフック、右手はウィーク気味に、上から握りヒジに余裕があれば、ハンドダウンになって縦コックが入りやすく、バンスが使いやすくなります」。ハンドアップに構えるとコックが入りにくく、体も回転しにくくなってしまう。

スイングでは振る方向と、フォローの大きさがポイントだ。「オープンに構えて目標に振ってしまうとインサイド・アウトの軌道になり砂の爆発が使えません。バンカーが苦手な人はスクエアに構えて目標に振るのがシンプル。また距離感はフォローの大きさと、スイングスピードで調節。“バックスイングはいつも同じ”が安定したバンカーショットにつながります」。

バンカーでは思い切って振っていく勇気も不可欠。優勝争いの中、明愛が見せた2つのバンカーショットはどちらも迷いなく振れていた。気持ちの面でも参考にしたいショットだった。

■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。

◇ ◇ ◇

●どんなスイング理論でも全ての人には当てはまらない。関連記事『【診断】手のヒラを擦る? 目を閉じてその場で足踏み? 新感覚の理論で自分に合ったアドレスを見つけよう!』をチェック!


<ゴルフ情報ALBA Net>