2024年上半期には、これまで映画作品などで演技力が評価されていた若葉竜也さんが突然のブレーク。話題を集めたドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ、フジテレビ系)に三瓶友治役で出演し、全国的にその名前が知れ渡りました。

今回は、若手を中心として、下半期に向けブレークしそうな俳優を元テレビ局スタッフの筆者が独断と偏見で紹介していきます。

■“超大物歌手の息子”として知られる「櫻井海音」
まず、1人目に紹介したいのが櫻井海音さんです。ご存じのファンも多いかと思いますが、櫻井さんはMr.Childrenのボーカル・桜井和寿さんの長男。メディアでは素性を隠しているものの、父親譲りの端正なルックスと新人とは思えないオーラをまとった若手俳優として注目されています。

櫻井さんはバンド活動とともに俳優業を行い、これまで『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)、『未来への10カウント』(テレビ朝日系)などに出演。2023年からは本格的に俳優業を行うようになり、『アオハライド』(WOWOW)、『君に届け』(Netflix)、『VIVANT』(TBS系)と立て続けにドラマ出演を続けます。

そんな櫻井さんを一躍有名にしたのが、2023年末に放送されたドラマ『泥濘の食卓』(テレビ朝日系)です。この作品で櫻井さんは、父親の不倫相手に恋をする那須川ハルキを熱演。ハルキは、幼なじみからストーカー行為を受け心に闇を抱える高校生という難しい役でした。

しかも、父親の不倫相手を愛するという特殊な設定で、櫻井さんのイメージになかったダークな役。徐々に疲弊していくハルキを目の表情や行動などで繊細に表現し、演技力の高さを証明しました。

■『【推しの子】』主演で年末の大ブレークに期待!
2024年には、3月から配信された『愛してるって、言いたい』(FOD)で松重瑛斗役を担当。この作品では、純粋でまじめな青年を演じ、主演の安達祐実さんとのコンビネーションも抜群。櫻井さんの透明感あるビジュアルがしっかりと生きている役柄となっています。

そして、櫻井さんといえば2024年冬にドラマ、映画で公開される大型企画『【推しの子】』の実写版で、主人公の星野アクアを演じる予定です。現在、撮影時などの詳細は一切明かされていませんが、年末に向けた今年1番の話題作になることは間違いなし。『【推しの子】』の実写化には賛否両論がいまだにありますが、櫻井さんにとってはチャンスになることでしょう。

原作の漫画・アニメで描かれるアクアは、冷静沈着でドライな性格。冷たい雰囲気を持ちながら、他人への思いやりが強いキャラクターで櫻井さんのビジュアルにピッタリです。繊細な演技ができることは証明していますから、櫻井さんが名物キャラクターを上手に表現して『【推しの子】』の実写化を成功させることに期待しましょう。

■オーディション番組出身の「飯沼愛」は経験値がすごい
次に紹介するのは、女性俳優の飯沼愛さんです。飯沼さんは、2021年4月にオーディション番組『TBSスター育成プロジェクト 私が女優になる日_』(TBS系)で全国9000人の中からトップを獲得。2021年秋には『この初恋はフィクションです』(TBS系)で主演デビューを飾り、さらに『パパとムスメの7日間』(TBS系)でも主演を務めます。

その後は、日曜劇場『アトムの童』(TBS系)、『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日系)に出演した飯沼さん。一気に知名度を上げたのは日曜劇場『VIVANT』(TBS系)への出演でした。同作では天才ハッカーの太田梨歩を演じ、豪華な出演者とともに、堂々とした演技を披露。かなりクセがあり特殊な設定の役でしたが、飯沼さんは大胆に演じて大ヒットドラマを支え続けました。

飯沼さんの魅力は、ズバリ物怖じしない性格です。これまでの作品を見ても、どの役でも自然体で嫌味がなく、しっかりと視聴者に届く演技をしています。いきなり大型オーディションを経験していることで、普通の若手俳優にはない経験を積み、俳優として作品に取り組む上で大切な度胸の良さを獲得。2003年生まれで弱冠20歳の飯沼さんは、同世代の若手俳優より何倍も濃い経験を積んでいます。

その経験をしっかり生かし、安定した演技で『VIVANT』でのブレークにつなげました。

■7月期はGP帯初主演で“過去の名作”に挑戦!

そんな飯沼さんは、2024年7月期で『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)の主演を担当。1987年に刊行された内田春菊さんのマンガ『南くんの恋人』が原作で、これまで4回もドラマ化された名作となります。『南くんが恋人!?』では設定を男女逆転させ、大胆にアレンジする作品となる予定です。

飯沼さんはゴールデンプライム帯の連続ドラマで初主演となり、共演者はFANTASTICSの八木勇征さん。脚本は、大ヒットした1994年版ドラマを手掛けた岡田惠和さんとなり、7月期のドラマの中でも人気作になりそうです。飯沼さんが人気キャラクターの主人公・堀切ちよみをどう演じるのか、高い注目が集まっています。

■『怪物』で注目! 話題作に連続して出演する「黒川想矢」
最後に紹介するのは黒川想矢さんです。2009年生まれで弱冠14歳の黒川さんは、5歳より芸能活動を開始。注目されるきっかけになったのは、2023年6月に公開された映画『怪物』でした。

同作は、「第76回カンヌ国際映画祭」で脚本賞を受賞。黒川さんは物語の鍵を握る少年・麦野湊を担当し、繊細に揺れ動く多感な時期の少年を見事に表現しました。演技力の高さが認められ、「第47回日本アカデミー賞」の新人賞などを受賞しています。

■「舘軍団」として今後の進化に期待大
その後、話題のドラマ『からかい上手の高木さん』(TBS系)でメインキャストの西片を演じます。大人気漫画が原作のドラマで、同じく主人公を担当した月島琉衣さんとのコンビネーションがバッチリ。初々しい青春時代を描いた作品で、『怪物』の時とは違う等身大のピュアな少年の何気ない日常を見せてくれました。

出演している作品を見る限りでは、天才的な雰囲気も感じさせる黒川さん。所属事務所も個性的で、舘ひろしさんの「舘プロ」に在籍しています。特技にキックボクシングを挙げている黒川さんが、「舘軍団」の一員としてどんな進化を遂げるのか期待です。ここまで、独断と偏見で3人の注目すべき若手俳優をピックアップしました。黒川さんだけは、正式に2024年の次回作が発表されていませんが、どの俳優も年末にはいま以上に評価があがりブレークしている可能性を秘めています。ぜひ、未来の日本の映画、ドラマを支える3人の俳優に注目して作品を楽しんでください。

この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。