名だたる刀剣が戦士の姿になり、歴史を守るため過去へと遡り戦う。PCブラウザ&スマホ向けゲームが原案の舞台『刀剣乱舞』(以下、刀ステ)の最新作「无伝夕紅(むでんゆうくれ)の士(さむらい)−大坂夏の陣−」は、戦国時代の終焉を告げる大坂夏の陣を背景にした、壮大な歴史劇。

刀ステの初演立ち上げから本作に関わり、共演経験も多い三日月宗近(みかづき むねちか)役の鈴木拡樹さんと鶴丸国永(つるまる くになが)役の染谷俊之さんのおふたりにコミュニケーションについて聞きました。

Q 自分はコミュニケーション上手だと思いますか?

鈴木:僕、コミュニケーション下手なほうなんだよね。初対面の人とか構えちゃうんで。

染谷:えっ、そうなんですか? 刀ステみたいに経験者が多い現場に初めて参加するとなると、やっぱり稽古初日は緊張するじゃないですか。拡樹くんってそういう人の存在にいち早く気づいて、自分からイタズラしたりイジったりしてコミュニケーションをとろうとされてますよね。そういう姿を見るたびに、優しさだなぁって思ってました。

鈴木:たまにつまらないボケをしてることがあるけど…(苦笑)。

染谷:そこも含めて優しさです。

鈴木:僕なりの近づき方なんだよね。ただ、こっちから先行してコミュニケーションをとろうと頑張るのはいいんだけど、結構失敗することが多くて…。

染谷:どんな失敗するんです?

鈴木:たとえば、共通点を必死に探ろうとして、空回る。

染谷:一個も見つけられなかった時の絶望感たるや…(笑)。

鈴木:そうそう。ようやく見つけた話題が、本当にどうでもいいことだったりするんだよね。「靴のブランド一緒だね」とか(笑)。向こうも必死に話を合わせようとしてくれたりするんだけど、どう考えてもこれ以上は広がらないわけじゃない? 自分でもしゃべりながら、この話題でどうやって話を繋げていこうと思っていたんだろうってなるのよ。でも、もはや後戻りができなくなってて…。

染谷:あ〜、ありますね。

鈴木:それで急に、自己紹介を兼ねた挨拶を付け加えてみたり。

染谷:気遣いは伝わりますよね。

Q 現場のコミュニケーションで大事にしていることはありますか?

染谷:僕の場合、第一印象ってすごい大事だと思っているんで、そこはかなり意識するようにしていますね。第一印象が悪いと、そこからイメージを覆していくのが大変じゃないですか。ただ、へんに良く見せよう良く見せようと頑張ってしまうと、逆に失敗しちゃうんで、できるだけ悪く見えないように、と思ってる。

鈴木:それ、ベストアンサーだね。僕が思うに、染ちゃんは現場での居方で、周りを引っ張ってくタイプだと思う。毎回、いろんなアイデアを持って稽古場に来ていて、相手が仕掛けてくるたびに違う球を返してくるじゃない? それを楽しみにしてる人は多いし、後輩たちもそんな染ちゃんに注目して見てるし。いると、すごくみんなの刺激になってくれる存在。

染谷:嬉しいです。でもそれを言ったら拡樹くんこそ…です。稽古初日には、当たり前のように自分の役を準備されてきてますよね。尊敬するし、自分の座長公演の時は、拡樹くんならどうするかを想像して動いていたりします。あと僕が考えるのは、その現場での自分の立ち位置かな。座長なら座長なりの、後輩なら後輩なりの居方ってあるじゃないですか。

鈴木:確かに。立場だけじゃなく、チームのバランス感みたいなものも結構見てるかもしれない。自分が座長だとしたら、共演者の中に僕の苦手分野を補ってくれる人がいるかどうかを考えたり。全部をその人に頼るわけにはいかないけれど、信頼して任せることで、チームがうまく回ることも多いから。

Qリモートでのやり取りなどで心がけていることはありますか?

染谷:去年からリモートでの打ち合わせとか取材とか、急激に増えましたけど、あの中での会話ってコツがいりますよね。タイムラグがあったりもするから、相手が話し終わってから1テンポ置いて話すようにしないと、声がかぶっちゃったり。僕は苦手なほうなんですけど、たまにすごくうまい人、いますよね。拡樹くん、うまそう!

鈴木:うまいかはわからないけど、映像でコメント撮りとかする時も、編集点を作りやすいように、相手が話し終えてから、少し間を置いて話し始めるようにするじゃないですか。あれもスキルが必要だから、僕らは少し慣れているぶん、やりやすいのかもしれない。

染谷:あとリモートならではのことで言うと、大人数で打ち合わせをしている時って話し始めるタイミングが難しいじゃないですか。そういう時は、発言したいと思ったらまず「はい!」って手を挙げてからしゃべり始めるとスムーズですよね。それはリモートならではのポイントだと思う。

鈴木:そうなんだ…。僕も一応、リモートの経験はあるんだけど、なんなら、自分では繋ぎ方すらわからないからね。

染谷:そうなんですね。

鈴木:繋げないうえに音声が届かなくて、「ミュートを解除してください」って言われて、「えっと…ミュートって?」ってなってましたから。

染谷:そういうところも拡樹くんぽくてかわいいです(笑)。

鈴木:そうかなぁ。周りのみなさんには迷惑かけてますけど。

Q “生の舞台”に立つ俳優として、生の魅力をどこに感じていますか?

染谷:こういうご時世になってみて、あらためて舞台に立てるって当たり前のことじゃなかったんだなって思います。

鈴木:生の舞台の魅力…。ものすごい単純な言葉で言うと、元気になれるんですよね。

染谷:うん。わかります!

鈴木:僕は舞台に立つ時に、生だからこそ伝わる躍動感とか息遣いまでを観てくださる方に届けたいっていう気持ちがあって、自分としてもそこがこだわりだったりするんだよね。最近は公演の生配信も増えているし、DVDで観てくださる方も増えていて、それはそれで便利だしありがたいことだとは思ってる。ただ、やっぱり生でしか伝わらないものもあって…。ほんといまは難しい時代だよね。

染谷:僕、リモートで朗読劇をやらせていただいたんですけど、経験してみて、いかにお客さんのリアクションが大事だったかを実感したんですよ。あれ、スベったかも? とか思っても、リアクションがないとわからないから不安で。

鈴木:演劇には、空気感を共有してる者同士だからこそ通じ合うものってありますからね。とくに笑いって、その場の空気で面白くなるってこと多いし。

染谷:そうなんですよね。本当に公演って、お客さんと一緒に作り上げていくものなんだなって、身に染みて感じています。

鈴木:映像だと、家でくつろぎながらとかスマホをいじりながらでも観られる。それをわざわざ時間を使って劇場に足を運んで観てくださる方がいるって、本当にありがたいなと思います。

TBS開局70周年記念 舞台『刀剣乱舞』无伝夕紅(むでんゆうくれ)の士(さむらい)−大坂夏の陣− 上演中〜6月27日(日) IHIステージアラウンド東京 原案/「刀剣乱舞−ONLINE−」より(DMM GAMES/Nitroplus) 脚本・演出/末満健一 出演/鈴木拡樹、高本学、三津谷亮、北村諒、和田雅成、近藤頌利、熊谷魁人、染谷俊之ほか 一般1万6000円 サイドシート1万6000円 

すずき・ひろき 1985年6月4日生まれ、大阪府出身。舞台を中心に、近年はWOWOW『2.5次元男子推しTV』でMCを務めるほかドラマや映画などでも活躍。8月にはミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』に出演。

カーディガン¥46,200(キャバン 代官山) Tシャツ¥14,300 パンツ¥30,800(共にカベル/HEMT PR)

そめや・としゆき 1987年12月17日生まれ、神奈川県出身。俳優として幅広く活躍するほか、アニメや映画吹き替えで声優としても活躍中。近作にドラマ『FAKE MOTION』など。出演映画『ナポレオンと私』は近日公開予定。

カーディガン¥57,200(トゥモローランド トリコ/トゥモローランド TEL:0120・983・522) Tシャツ¥19,800 パンツ¥39,600(共にキャバン 代官山)

※『anan』2021年4月21日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・井田正明 ヘア&メイク・AKI(鈴木さん) 中元美佳(染谷さん) 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)