ハンバーグ、エビフライ、コロッケ、チキン南蛮、ナポリタン……。洋食界のスターたちが一皿にぎゅっと集結している。そんなドリーム以外の何物でもないスペシャルプレートに出会えるのは、今年3月に学芸大学にオープンしたばかりの洋食店『洋食ムチュ』だ。オーナーシェフの有川毅さんは、学芸大学の人気酒場『酒場 浮雲』を手掛ける人でもあるが、洋食店はいつかやりたいことの一つだった。「洋食って幸せやワクワクが詰まってる。子供から大人まで誰しも好きだと思える味を丁寧に形にする街の洋食屋でありたいですね」。

例えばハンバーグは柔らかくてふわふわ。それでいて肉の旨みが閉じ込められている。その絶妙な塩梅を実現すべく、国産A5黒毛和牛と国産豚を9:1で使用し、つなぎに適した保水性の高いパン粉をセレクト。自家製デミグラスソースはビター感と奥行きがありつつも、力強さは抑えられている。皿の上の一つずつ、かじるたびに洋食への敬意が伝わってくる。その緻密さは揚げ油に至るまで。米油やラードなど数種類の油をブレンドしたオリジナルで、甘やかで香ばしいが軽やかな食べ心地が残る。「食べ終わった時にまた食べたいって思えるような優しい味が作れたら」。洋食というみんなの憧れを背負ってキッチンに立つ有川さんの真摯さが、お皿の隅々に滲んでいる。

ランチ限定スペシャルプレート(スープ、サラダ、ライスorパン付き 2320円)に、セットドリンクの赤ワイン(+550円)。夜は、ワインにウフマヨ、締めにナポリタンなんて楽しみ方のできる飲める洋食ビストロに。

洋食ムチュ 東京都目黒区鷹番3‐4‐25 TEL:03・4400・0241 ランチ11:30〜14:30(14:00LO)、ディナー18:00〜22:00(21:00LO) 水曜休

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。

※『anan』2024年6月5日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

(by anan編集部)

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