2022年5月11日発売の特別編集MOOK台所と道具にまつわるコンテンツをまとめた1冊から、一生付き合える調理道具について、料理家・冷水希三子さんに検証して選んでもらいました。

おおらかで、やさしい一本を。

取り分け用のサービングスプーンは気に入ったデザインであることは大切ですが、意外と機能面に差が出ます。大皿料理に添えて食卓に出す場合、一度にひとり分が取れるサイズがスムーズ。スプーン部分の縁のカーブに角度がありすぎると、豆腐料理や煮魚など、柔らかい食材を取り分ける際に形を崩してしまうので、すくう部分が深すぎず、縁のカーブがなだらかなものが理想です。へらとスプーンのちょうど中間くらいの深さなら、お皿に沿ってやさしく料理をすくえ、煮汁などもサーブできて便利。素材はステンレスやアルミなど、錆びにくく、衛生的なものがデイリー向き。とくにアルミは軽いので扱いやすいです。

検証1 どんな料理とも相性のいいものを。

料理ごとに取り分けスプーンを替えるのも楽しいですが、1本買うならどんな料理にも似合うものを。アルミやステンレスでも質感にニュアンスがあるものなら和食にも合います。

検証2 調理でも活躍できる。

フライパンからお皿への盛り付けや、崩れやすいかき揚げを作るときなど。食材にやさしい形状のサービングスプーンは、繊細な料理を扱う調理中にも役立ちます。

検証3 切る、取り分ける、すくう。

縁の部分で料理を切り、取って皿によそい、仕上げに煮汁をすくってかける。一本で3役をこなせるのは、深さのない、おおらかなサービングスプーンだからこそ。

〈鍛金工房 WESTSIDE33〉のサービングスプーン

アルミ製で軽いサービングスプーン。スプーンの凹みが浅く、柔らかい食材も崩さず取り分けられる。手仕事による槌目が美しい。アルミ製取り分けスプーン(穴なし)¥3,410(鍛金工房 WESTSIDE33 075−561−5294)

料理家・冷水希三子が検証。理論で選ぶ、揃えるべき道具たち。
RELIABLE KITCHEN TOOLS

冷水さん愛用の〈貝印〉の計量スプーン。使い勝手のよさと美しい佇まいを兼ね備えた名品。

毎日使っている調理道具。デザインに惹かれて買ったものや、親から譲り受けたもの、さまざまな経緯で手元にあると思います。でも、ふとした瞬間に「ちょっと使いづらいな」と思うことはありませんか。それは気のせいではなく、きちんと理由があるんです。その”理由”にじっくり向き合い、”考えて”みる。料理家の冷水希三子さんと、一生付き合える道具を検証、選んでみました。

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photo : Kazumasa Harada styling : Kimiko Hiyamizu edit & text : Yuriko Kobayashi


ひやみず きみこ 冷水 希三子

料理家。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告で活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集める。著書に『ONE PLATE OF SEASONS─四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』 『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。