2023年4月14日に公開され、4か月がたった『名探偵コナン 黒鉄の魚影』。興行収入が136億円を突破しシリーズ歴代No.1ヒットとなり、いよいよ閉幕(クロージング)へ向け「BLACK“CROW”SING」と題した“黒”にまつわる企画を開催中です。
何を隠そう灰原哀が“初恋”の私は、公開前から大きな期待を込めて下記のような記事も執筆しました。
本記事では、90年代生まれのアニメ!アニメ!編集長エサキが思い入れのあるアニメやキャラクターを語るコラム「‘90s男と××」第1回として、本作の魅力について語らせていただきます。
※以下の本文にて、本テーマの特性上、作品未視聴の方にとっては“ネタバレ”に触れる記述を含みます。読み進める際はご注意下さい。
■パッション100%→1%
まず、灰原哀に対してのパッションが高い状態だと、冷静な考察が出来ない可能性があるので、パッション100%で本作への感想と、評価をお伝えします。飲み屋の酔っ払いの話を聞くと思ってしばらくお付き合いください。
(※偏った意見、過激な言葉にご注意ください。)
編集長として、灰原好きとして、本作のヒットについてどのようにみられていますか? と聞かれることがよくあります。
「ヒットする理由? 当たり前なんですよ。
近年、多くの人気な男性キャラクターを中心とする劇場版が公開されてきました。
もちろん灰原好きとして、灰原が魅力的だから、灰原最強!という思いはもちろんあります。
ただ、名探偵コナンの本質はただの推理物、ミステリーじゃないし、もちろんアクションものでもないんです。
人が死ぬラブコメなんですよ。殺人ラブコメが本質なんです。
灰原がフィーチャされるからではなく、しばらく劇場版で触れずに温存してきた主人公コナン君が本作の本質である殺人ラブコメをする。その相手が、これまたずっと温存されてきた灰原哀である。しっかりと描けていればヒットしない訳がないんですよ。灰原最強!」
(ここまで息継ぎなし)
酔った筆者はおそらくこのようにパッション100%でお答えするでしょう。もちろん、その他の楽しみ方や、魅力的なキャラクターが沢山いることがコナンの魅力であることは否定しません。しかし、待望の“灰原とのラブコメ”を期待させた本作が、それを見事に描ききったことがヒットの要因であるということは多くの人に理解していただけると思います。
ここからは、どのような仕掛けや、メッセージを込めることで灰原とのラブコメを描ききったのか、パッションを抑えながら冷静に解説、考察します。
■実はこれまでのコナンのストーリーでも使われた盛り上がりの仕掛けがてんこもり!? オマージュシーン
本作には、これまでの名探偵コナン本編や、劇場版を意識したセリフや、シーンからのオマージュが多く使用されており、待望のテーマを描き切る覚悟すら感じる仕上がりになっています。
その一部を紹介いたします。
予告編でも使用されたベルモットが老若認証システムを刺して「決して開けてはならない玉手箱」と表現するシーン。これは原作46巻にて、コナンが黒ずくめの組織のボスのメールアドレスを知った際に灰原がコナンに言った「決して開けてはならないパンドラの箱」のオマージュです。老若認証システムにかけて、開けると歳をとってしまう玉手箱と表現しています。
原作24巻のコナンが灰原にメガネをかけさせるシーンのオマージュなども、予告編の時点で公開されていました。予告編の時点で灰原関連のオマージュに溢れていたことがわかります。
本編での、直美・アルジェントが小学生時代に人種を理由にいじめられ、灰原に救われるエピソードは、原作40巻で登場した、フサエ・ブランドを立ち上げた、フサエ・キャンベルと、阿笠博士の初恋エピソードのオマージュです。
その他、劇場版の名シーンのオマージュもてんこ盛りです。
■『天国へのカウントダウン』に登場した、10年後の顔を予想するマシンを思わせる、老若認証システムや、同作品で園子と、灰原哀(宮野志保)が間違われるシーンを思わせる展開。
■『迷宮の十字路(クロスロード)』を思わせるような道から外れたコースを交えたカーチェイス。
■『十四番目のターゲット』を思わせる、キスシーンは、同時に『紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)』のボンベのオマージュでもあります。
コナンと蘭の恋愛シーンと、蘭と園子の友情シーンのオマージュを同時に入れることで、灰原哀とコナンの恋愛なのか?友情なのか?絶妙なバランスの関係性を表現しています。
また、『世紀末の魔術師』の怪盗キッドが、工藤新一に変装して、コナンの正体がバレそうな所を助けるラストシーンを思わせる、ベルモットの灰原への恩返しなど、最後まで歴代コナン映画の名シーンのオマージュに溢れ、そのそれぞれにただ似たシーンを詰め込んだだけでなく、しっかりとメッセージが込められています。
もはや必ずヒットさせるという執念まで感じる構成で作られていた事がわかります。
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■『名探偵コナン 黒鉄の魚影』タイトルの意図
さて、本作がこれまでファンの心を掴んだシーンのオマージュを盛り込むことで、堅実にファンの心を動かしたことについてお話しました。
しかし、それだけであれば、本作はどこかで見た事のあるシーンを集めた芯のない作品と捉えられてしまうかもしれません。
本作の芯となる部分はどこにあるのか?
それは本作のタイトルが何を指すのかについて考えれば答えは出るのではないでしょうか。
名探偵コナンの、灰原哀や、黒ずくめの組織関連のエピソードでは、これまでイルカが大きなキーワードになっていました。
これは、原作31巻での灰原の、蘭を海の人気者のイルカに例え、自らを意地の悪いサメと例えることからだと考えられます。
『漆黒の追跡者(チェイサー)』でコナンと、新一が同一人物であることがバレてしまうキッカケになったのは、コナンが作った粘土のイルカについた指紋でした。『純黒の悪夢(ナイトメア)』でキュラソーが、黒ずくめの組織での記憶を失い、少年探偵団と仲良くなった際の友情の証になったものがイルカのキーホルダーでした。これまで、黒ずくめの組織の対局の世界の象徴として、イルカが描かれていたのです。
逆に、サメはイルカのような人気者を疎み、敬遠する黒ずくめの組織としての過去を持つ灰原哀の後暗さの象徴です。本作で、コナンや灰原の命を救った博士の作った水中スクーターもサメのデザインでした。
これまで、多くの作品を通して、灰原はコナンたちとの信頼を築き上げてきました。『天国へのカウントダウン』の頃と比較するとその差は歴然。闇のある裏切り者かもしれない少女から、最も信頼のおけるコナンの相棒へと変貌を遂げました。毛利蘭とも、原作42巻のベルモットとの直接対決で、身を挺して守られた経験を経て姉のように慕うそぶりも見せるようになりました。
しかし、自らを「サメ」と例えるような、住んでいる世界が異なりどこかで相容れないような思いに関しては、完全に脱した描写など描かれておりません。
そのような点からも、本作が“サブマリン”をなぜ“魚影”と表現したのか腑に落ちます。今回はサメとイルカの話であり、灰原のサメからの卒業のお話だったことを強調する意図を感じます。
本作のエンディングのシーンでは、3匹のイルカが描かれていました。灰原がイルカと例えた蘭、コナンと、この映画でサメから卒業した灰原の3人を表現していると受け取ることができると思います。
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■最後に
本作には、ほかにも多くのオマージュや、感慨深いシーンが散りばめられていますが、今回は作品をヒットに導く執念すら感じる演出と、本作のメッセージに焦点を当てて紹介いたしました。
個人的には、エンディングテーマの「美しい鰭」の歌詞についてなども話したくてしょうがない……!
コナンとともに成長してきた90年代生まれのアニメファンにとってはこれまでのご褒美のような作品で、次世代にも改めて「灰原最強!」を感じさせた本作。
‘90s男はこれからも灰原哀に夢中です。
皆さんの感じた本作の魅力や、気づいた部分などあればぜひ教えてください。
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『名探偵コナン 黒鉄の魚影』
全国東宝系にて大ヒット公開中!!
原作:青山剛昌「名探偵コナン」(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
監督:立川 譲 (劇場版名探偵コナン参加作品:「ゼロの執行人」)
脚本:櫻井武晴 (劇場版名探偵コナン参加作品:「緋色の弾丸」「ゼロの執行人」「純黒の悪夢」
「業火の向日葵」、「絶海の探偵」)
音楽:菅野祐悟 (劇場版名探偵コナン参加作品:「ハロウィンの花嫁」)
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、林原めぐみ ほか
配給:東宝
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ ShoPro /東宝/トムス・エンタテインメント
(C)2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
灰原哀を100億の女にするという執念『名探偵コナン 黒鉄の魚影』に仕込まれた仕掛けとメッセージ【‘90s男と××】

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