オンラインで凱旋会見、本人が語る勝因とは?

 男子ゴルフの海外メジャー・マスターズで日本男子悲願の海外メジャー初優勝を果たした松山英樹(LEXUS)が14日、オンラインでの凱旋会見を行った。今季1度もトップ10入りしていなかった男はなぜグリーンジャケットを着ることができたのか。本人はメンタル面での安定だと分析している。

 イライラを募らせることなく、松山は表情豊かに4日間を戦い抜いた。初日は4打差の2位。2日目は順位こそ落としたが首位との差は縮め、3日目には2位に4打差をつけて首位に立った。そして迎えた最終日。ハーフターンで5打差をつけたが、バックナインでは後続の猛追もありみるみるリードを失った。終わってみれば1打差。痺れるようなメンタルの浮き沈みがあったはずだが、決して表には出さなかった。

「今年に入ってから良くなる気配がありながらも、なかなか結果に結びつけることが出来なくてもどかしい日々を過ごしていた。ですが、マスターズの週の水曜日に今週はいけるかもしれないと。それが何なのかは僕自身わかっていないのですが、そういう気持ちになったことが大きかった」

 最終日は1番から18番まで「緊張しっぱなしだった」と明かす。松山と言えば完璧主義者で知られる。結果オーライを許さない。無表情でのスーパーショットや、苦笑いしながらのベタピンといったシーンはこれまでも度々話題を呼んでいた。

 練習量は他の追随を許さない努力家。自身に課すハードルはどこまでも高い。だが、そんな男が今大会は変わった。自らのミスに寛容になった。笑顔のワケを問われた松山はこう話している。

「心がけてやっていたのもあるとは思いますが、状態は上がっていたというところでミスを許せるという気持ちになった。自分でもよくわかっていないが、自然とそうなったと思っています」

きっかけは前週「マスターズの前で良かったなと」

 きっかけは前週にあった。バレロテキサスオープンの初日は67の好スコアで4位発進。しかし2日目以降は74、73、71と伸ばせず、結果は30位に終わった。この試合でふとした気づきがあった。

「初日いいスタートを切ったが、その後思うようなラウンドができなくて、イライラしているところでキャディーの早藤(将太)にも当たったり、チームのみんなにも迷惑をかけて、何をやっているんだろうと。ハッと気づくことがあって、マスターズの前で良かったなと思うところもあった。

 マスターズの週に入ってからはどんどん自分の状態が上がっていくのが分かって、なので今週は怒らずに。今年は1度もトップ10に入っていなかったので、ミスを受け入れていこうと思ってやっていました」

 常に完璧を目指し続けた男が変わった。だから、池に入れても、ミスショットが出ても、自らを許すことが出来た。僅かなミスが命取りになるオーガスタ。松山に生まれた気持ちの余裕が、グリーンジャケットを引き寄せたのかもしれない。

 5月には次のメジャー・全米プロがある。今夏には東京五輪もある。周囲の期待は過熱するが、「まだ次の目標を決めるところには達していない。もう少し余韻に浸りながらゴルフをしたいと思う時間が来た時に目標を立てて頑張りたい」と穏やかな表情で口にした。20代ラストイヤー。松山が新境地を切り開いた。(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)