世界体操第3日

 体操の世界選手権は20日、福岡・北九州市立総合体育館で第3日が行われ、日本男子が予選に登場した。内村航平(ジョイカル)は種目別鉄棒14.300の暫定3位。今大会は個人種目のみで争われ、男子予選はこの日午後8時50分まで実施される。22日に個人総合男子決勝、23、24日に種目別決勝が行われる。

 内村は最後までやり切ることに重点を置いた。H難度の離れ技「ブレトシュナイダー」を成功。しかし、直後に肘が曲がった。カッシーナ、コールマンなど高難度の技に次々と成功。着地も大きなミスなく決めたが「良かった部分は正直一個もない。離れ技も近かったし、アドラー系も倒立が外れた」と満足とは程遠かった。

 32歳。両肩痛など満身創痍の状態が続き、20年から鉄棒に専念した。東京五輪はまさかの落下で予選落ち。4大会連続で出場した大舞台で、最も不本意な結果に終わった。五輪から88日後に行われた生まれ故郷・北九州での戦い。今回は五輪で落下した捻り技を回避した。自信がなかったわけではないようだが、決断の裏には佐藤コーチの助言があった。

「自分は抜く必要はないと思ったけど、(佐藤コーチが)抜いた方がいいと。これだけ修正しても演技のトラウマは拭えない。『1回ちゃんと抜いて、予選通過することを大事にした方がいい』と言われた。大きな舞台で何が起こるかわからないので。現地に入る直前に言われました」

ファンに演技を届けることに注力「最後の最後までやり切る」

 入場制限のない有観客のスタンド。連日2000人ほど駆け付けている。この日は内村の演技に最も沸いた。暫定3位に留まったが、悪夢のような落下はなく「意地を見せたというか、本当にどうなっても落ちない、最後の最後までやり切ることを演技として出せた。指示に従ってみて、やっぱり本当に優秀なコーチだなと思う」と感謝。そんな佐藤コーチは選手以上に重圧を抱えていた。

「彼もここまでプレッシャーがあると思う。笑い話にしていいかわからないけど、帯状疱疹が出ているんですよ。笑えないけど(笑)。僕のためにも一生懸命にやってくれている。本当に大変な想いをしてここについてくれている。それに演技で返していかないといけない」

 まずはファンに美しい演技を届けることに注力したレジェンド。万雷の拍手が鳴った演技後は客席に歩み寄り、日本代表Tシャツを投げ込んだ。個人総合、鉄棒で東京五輪2冠の20歳・橋本大輝(順大)は、両種目で暫定トップ。新旧王者の直接対決だ。鉄棒決勝は最終日の最終種目「生まれ故郷なので拍手に温かみを凄く感じた。最後の最後に盛り上げられたら」。内村が見る者を惹き込む演技を目指す。(THE ANSWER編集部)