都内で引退会見

 フィギュアスケートの宇野昌磨(トヨタ自動車)が14日、都内で競技者としての引退会見を行った。男子シングルで平昌五輪銀、北京五輪銅と2大会連続メダルを獲得。世界選手権も連覇するなど、長らく日本男子を牽引してきた26歳が、充実した表情で21年間の競技生活に別れを告げ、プロ転向を表明した。生配信でトークセッションという珍しい形に。視聴者へスクリーンショットの時間を設けるなど異例の引退会見となった。

 会見には報道陣約120人、テレビカメラ約20台が集結。開始1時間以上前から宇野の言葉を聞くため列を作っていた。拍手を受けながら黒のスーツ姿で登場。「よろしくお願いします」と笑顔で挨拶し、トヨタイムズスポーツキャスターの森田京之介氏とトークセッション形式で心境を述べた。

 支えてくれた人や報道陣への感謝も述べ、プロとして活動していくことを明言。引退を決めた時期は「2年前くらい」とし、昨年12月の全日本選手権後にステファン・ランビエールコーチに「次の大会で現役を引退しようと思う」と明かした。引退決断の背景には「ユヅ君(羽生結弦)の引退、ネイサン(チェン)の引退もあり、ともに戦ってきた仲間たちの引退を聞いて、凄く寂しい気持ちと、取り残された気持ちがあった」と自身にも影響したという。

 未練については「全くない」と断言。時間が増えた今後は「いろんな経験をしていきたいと思っていますし、競技から離れた分、ゲームにも費やせる時間が増えたかなと思います」と笑った。トークセッションと質疑応答が終えると、生配信の視聴者用に“スクショ”の時間を設けてカメラにニッコリ。バストアップと顔に寄ったシーンを撮るという引退会見としては異例の対応が取られた。

 宇野は昨年12月の全日本選手権で6度目の優勝。「競技人生に悔いを残したくない」と強い思いも口にしていた。テーマの一つに表現力を掲げる一方、イリア・マリニンら4回転ジャンプを武器にする猛者の存在から「競技者として戦いたいと思った以上、必要」とジャンプの重要性とも向き合った。

 3連覇を目指した今年3月の世界選手権ではショートプログラム(SP)1位ながら、フリーで転倒もあり総合4位。今月9日には自身のインスタグラムで引退を報告していた。この夏以降は複数のアイスショー出演を予定している。

■宇野昌磨(うの・しょうま)

 1997年12月17日、愛知・名古屋出身の26歳。5歳からスケートを始め、2015年世界ジュニア選手権で金メダルを獲得するなど頭角を現した。16年には全日本選手権で初優勝を果たし、羽生結弦らと日本フィギュア界を長年牽引。五輪では18年平昌で銀、22年北京で銅メダルを獲得。22年、23年には世界選手権を連覇した。日本選手権は4連覇を含む歴代2位タイの優勝6度。五輪以外の主要国際大会を全制覇する「生涯グランドスラム」も達成している。4回転フリップの世界初成功者。

(THE ANSWER編集部)