19日セイコーGGPへ会見

 陸上のセイコーゴールデングランプリ(GGP)が19日、東京・国立競技場で行われる。18日は会場で一部選手が会見。女子1500メートルの田中希実(New Balance)は、東京五輪と同じ会場で会心のレースを目指す。

 思い出の国立に闘志をぶつけにいく。1500メートルは2021年東京五輪8位入賞の快挙で感動を呼んだ種目。「私の中ではいいイメージのある大会」。田中は「ファンに見てほしいところは?」の問いに対し、自虐的に笑いながらこう答えた。

「観客の皆さんにはよく『ラストスパートが注目される選手』と言われるけど、2020年あたりからラスト1周を大事にしています。ただ、ラスト1周のことを言われることで、そこが手の内を見せるようなことにもなる。ラスト1周以外にも何か新しい武器がほしいと思って試行錯誤してきた中、そのラスト1周もボヤけている。自分の武器が自分でもよくわからないです(笑)。

 何を見てくださいと言うのは難しいけど、東京五輪と同じ舞台であの時のようなギラギラしている自分を生で見ていただければ嬉しいです。セイコーGGPは大学1年で初めて出た記憶があり、その時は長居(ヤンマースタジアム長居)で3000メートルだった。大きな舞台になって、大会と一緒に自分も成長してこられたという感慨深さも感じています」

 日本記録3分59秒19を持つ24歳。参加標準記録4分02秒50を突破し、6月末の日本選手権優勝ならパリ五輪代表に内定する。今季は会心の走りはなく、「悪くない感覚は練習でもありますが、今年はレースの中でハマるレースに巡り合えていない」と吐露。昨年より状態はいいが、「練習か、それ以上の力を出すことが、今季は去年以上にできていない」と感覚の不一致を口にした。

 昨年ブダペスト世界陸上で8位入賞した5000メートルは、参加標準記録14分52秒00を突破すれば五輪に内定する状況。6月の日本選手権へ、今回はさらにギアを上げるタイミングだ。

「私は7、8月あたりから調子が上がってくる。5、6月は不安定。中でもセイコーGGPは5月開催が多く、国際大会でハイレベルですし、調子が安定しない中でもいい方向に持って行きたい大会の一つ。5月のこういう舞台で良い状態を示すことが、日本選手権でしっかり調子を合わせて確実に権利を獲るために大事になる」

 自己ベスト3分台の選手も出場するレース。今後は海外転戦も見据える中、「東京五輪以来くらい、国内でレベルの高い選手がそろった大会。その中で存在感を示せるような走りをしたい」と目をギラつかせた。

セイコーGGPの前日会見に出席した選手たち、左から村竹ラシッド、橋岡優輝、田中、佐藤拳太郎【写真:浜田洋平】

橋岡優輝「勝ち切れるように」、佐藤拳太郎「今年を占う一戦」、村竹ラシッド「勝つつもり」

▽男子走り幅跳び・橋岡優輝(富士通、東京五輪6位入賞、すでにパリ五輪参加標準記録8メートル27を突破済み)

「海外からも国内からもトップ選手が来ている。勝ち切れるように頑張りたい。自分の場合は国内の試合を練習のような形でやってきて、記録は振るわないけど、自分の中では着々と良いものを掴めています。良いメンツが揃った中で集中力を上げてやれば、自ずと良い一本を掴めるのかなと。

 シーズン初戦で標準記録を突破できたので、『この試合で決めなければいけない』というプレッシャーはない。カテゴリーも良い大会ですし、強い選手もいるし、しっかり自分の力を示せる良い大会。ここから弾みをつけて日本選手権とパリ五輪に繋がるような、ある意味シーズン初戦のように意気込む試合かなと思います」

▽男子400メートル・佐藤拳太郎(富士通、日本記録保持者、23年アジア選手権優勝)

「今年を占うような大事な一戦。記録を狙うような良いレースをしたい。400メートルは今季初戦。その中でレースでこういう動きをしたいというのはイメージしているので、それを体現できれば自ずとタイムが出ると思います。国内外問わず強い選手が集まるのがセイコーGGP。その中で自分のやりたい動き、レースができないとパリ五輪で体現はできない。やりたい動きを表現できれば。

 戦略性の高い種目。明日もいろんなものが出ると思う。国内でいろんな雰囲気が出る試合は国内ではないので、そういうものを感じながらしっかり走れれば」

▽男子110メートル障害・村竹ラシッド(JAL、日本記録保持者、22年オレゴン世界陸上代表)

「日本勢も錚々たるメンバー。海外からも集まって凄く速いですが、もちろん勝つつもりで来ているのでしっかりいい記録を出して勝てるように頑張ります。状態は確実に(4月末の)織田記念国際よりよくなっています。パリ五輪に向けて弾みになる舞台。代表に内定するのは日本選手権なので、そこに繋がるレースをしたいです。

 ハードルでの持ち味は中盤から一気にスピードアップするところ。今日も練習して中盤からスピードアップできそうな感覚を掴めたので本番でもやりたい。中盤からの加速に注目してほしいですね。セイコーGGPの初出場は大学1年。コロナ禍で無観客開催だった。これだけ大きい競技場で誰一人いなくて凄く寂しい中で走ったのを覚えています。今回は大歓声の中で走れるのは嬉しいし、だからこそいい記録で皆さんを沸かせたい」

(THE ANSWER編集部)