5年ぶりの日本ツアーで奮闘中

 19日まで4日間に渡って行われた女子ゴルフの国内ツアー・ブリヂストンレディス。5年ぶりに日本ツアーに復帰したアン・シネ(NOW ON)は通算3オーバーの43位で大会を終えた。17年に日本ツアー初参戦し、「セクシークイーン」として旋風を巻き起こした33歳。諦め切れない夢を追いかけて日本の舞台に返り咲いたその思いに迫った。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 ミニスカートをひらひらとなびかせて戦った4日間には充実感が漂った。5年ぶりに日本ツアーに帰ってきたアン・シネ。初日は73とやや出遅れたが、2日目に71と盛り返して3戦連続予選を突破した。「少しずつ試合ができるような状況になってきている」。確かな自信も戻ってきた。

 韓国KLPGAツアーではメジャー大会での1勝を含む通算3勝を記録し、17年に日本ツアー初参戦。19年までにJLPGAツアー21戦に出場し、「セクシークイーン」の愛称で一世を風靡した。

 19年の最終予選会(QT)では25位で前半戦のシードを獲得。しかし、翌年はコロナ禍で来日できなかった。「その時は日本ツアーを断念しても心残りはなかったけど、時が過ぎるにつれて日本ツアーへの思いが強くなった」。今年で34歳。「早めに決断しないとどんどん難しくなっていく」と“止まっていた”時計の針を自ら動かし、5年ぶりの日本ツアー復帰を決断した。

 日本ツアーを離れてから4年間、練習はほとんどしていない。ツアー復帰後に改めて実感したのはプロ用のグリーンやコースセッティングの難しさだった。ティーオフ直前までパッティングを練習し、クラブのセッティングを変えるなど工夫。今季初戦のダイキンオーキッドレディスでは初日に78を叩くなどして予選落ちしたが、3月のアクサレディスでは10位に入るなど徐々に感覚を取り戻している。

「賢い方でメンタルが強い。最後の最後まで諦めない」。担当マネージャーにそう言わせるほど、芯の強さもある。予選通過が難しい状況でも最後までしっかりとプレー。今季出場した大会、各日の最終18ホール目で奪った8つのバーディーが象徴している。

 若手が台頭する女子ゴルフ界。今大会、最終18番のグリーン上でしゃがみ込む場面もあった。それでも「他の選手からパワーをもらっている。みんなが上位を目指している中で『自分はこの位置にいるな』と達成感を感じられる」と挑戦をやめない。33歳になったセクシークイーンが目指すのは5年前には達成できなかった日本ツアー優勝と、自力でのシード獲得。挑戦は始まったばかりだ。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)