今季からドジャースとスポンサー契約

 今季から米大リーグ・ドジャースとスポンサー契約を締結した乳酸菌飲料などを手がける大手メーカー「ヤクルト」。昨年末から本格的に交渉をスタートさせ、ドジャースタジアムに2つの広告看板を設置すると、いきなり本拠地初打席で大谷翔平投手の初安打が看板に当たるという奇跡も起きた。6回にわたって伝えるヤクルトのドジャースに対する思い。第4回はドジャースの前にスポンサー契約を結んでいたエンゼルスとの関係について。現地法人・アメリカヤクルト株式会社の三角豊代表取締役社長兼CEOは16年前からの変わらない思いを語ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部・瀬谷 宏)

 大谷が移籍加入する以前からドジャースからスポンサー締結の誘いを受けていたというヤクルト。タイミングを見計らっていた三角社長は、周囲の盛り上がりを肌で感じ、昨年末から本格的に交渉を開始した。もちろん「大谷選手の加入が後押しになった」という。「社員の多くがドジャースファンですし、まだ契約を結ぶ前から『ドジャースのスポンサーにはならないんですか』という声が社員からもあったほどでしたから」ということで、正式契約が発表されると、社内も大きく盛り上がったという。

 この動きだけを見れば、ヤクルトが“大谷とともにドジャース入り”という構図にも映るが、話はそんなに単純ではない。もともとヤクルトは、エンゼルスとスポンサー契約を結んでいた企業。エンゼルスタジアムに広告看板を掲出していたことは、テレビ中継などを通して見たことがあるファンも多いだろう。では、なぜヤクルトは最初にエンゼルスを選んだのか。

「ヤクルトという会社は健康を意識した商品を作っているので、その一つとしてスポーツの振興に力を入れています。日本でもプロ野球球団を持っていますし、こちらでもどのスポーツ(のスポンサー)をやろうか、となったときに、やはり地元のエンゼルスが一つの選択肢だねということでした」(三角社長)

 ヤクルトと同じ南カリフォルニアを本拠とするエンゼルスのスポンサーを始めたのは2008年。当初は小規模な広告だったというが、2017年ごろからテレビなどでも広告を打ち始めたという。すると、ポスティングシステムで2018年から大谷がエンゼルスでプレーすることが決定。三角社長は当時について「大谷選手が“たまたま”入ってくれたので……。ものすごく運が良かったですね。我々も最初は信じられませんでした。メジャーにくるという話は聞いていましたが、まさかエンゼルスに来るとは思ってもいませんでした」と振り返った。

 大谷のMLBでの歩みを間近で見守ってきたヤクルト。ドジャースでもその関係は続く。一方で三角社長はエンゼルスについて「我々は地元で商売をしていますし、大谷選手がいなくなったから(スポンサーを)やめるということはありません」と断言する。

「もちろん、いてくれれば日本でも露出は増えますからその方がいいのですが、スポーツ振興ということもあるので、エンゼルスもドジャースも長くお付き合いしたいと考えています」。これこそがヤクルトのスポーツ振興に対する真摯な姿勢だ。

(THE ANSWER編集部・瀬谷 宏 / Hiroshi Seya)