ようやくコロナ禍も収束の兆しが見え始めてきましたが、リモートワークの定着などもあり、地方移住を希望する人は増え続けているようです。自然が豊かで食材も豊富な山形県は、魅力あふれる県です。山形県への移住希望者に向けて、山形県の基本情報や移住支援などについて紹介します。

山形県の基本情報

山形県は東北6県のうちの一つで、日本海側に位置しています。さくらんぼの産地としても有名で、全国生産量の7割を占める「さくらんぼ王国」です。まずは、山形県の基本情報を紹介します。

人口・世帯数
山形県の推計人口(令和5年3月1日時点)は103万5,157人です。世帯数は40万132世帯になります。県内で最も人口が多いのは県庁所在地である山形市(24万3,507人)で、次いで鶴岡市(11万8,098人)、酒田市(9万6,966人)になります。

出典:山形県 山形県の人口と世帯数(推計)(令和5年3月1日時点)について

気候
山形県は東北地方ということもあり、冬は寒冷で地域によっては豪雪に見舞われます。気候区分は日本海側気候になりますが、日本海に面する沿岸部と内陸部では気候に違いがあります。

沿岸部は海洋性気候の特徴を持ち、多雨多湿で冬季には北西の季節風が強いという特徴があります。一方、内陸部は気候が比較的温暖ですが、気温が低いときと高いときの差が大きいのが特徴です。新庄市を中心とする最上地域は多雨多雪地帯で、月山、朝日山系の山間部は全国有数の多雨・多雪地帯です。

賃貸住宅の家賃相場
全国賃貸管理ビジネス協会の全国家賃動向によると、山形県は、鳥取県、大分県に次いで3番目に賃貸住宅の家賃相場が安い県になります(※1)。

賃貸住宅の家賃相場をタイプ別でみると、2023年5月時点の単身者向け・ワンルームで一番安いのは南陽市で2.6万円です。一番高いのは鶴岡市で4.7万円になります。ファミリー向け・3LDK/4Kで一番安いのは南陽市で5.8万円、一番高いのは山形市で9.0万円です(※2)。

※1 出典:全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」

※2 出典:SUUMO 山形県の家賃相場・賃料相場情報を探す

山形県の4つのエリア

山形県は大きく分けて、置賜、村山、最上、庄内の4つのエリアに分けられます。それぞれのエリアの特徴について紹介します。

村山エリア

夏までスキーが楽しめる月山

村山エリアは、蔵王、月山、朝日連峰など秀麗な山々に囲まれた県の中央部に位置しています。県庁所在地の山形市もこのエリアに属し、さくらんぼの名産地として有名な東根市、寒河江市もこのエリアです。芭蕉の句でも知られる「山寺」などの観光名所や温泉などもあります。

最上エリア
最上エリアは、山形県北東の内陸部に位置し、豊かな森林が残っている地域です。原生林が多く「巨木の里」としても知られています。南部から西部にかけて貫流している最上川では「最上川舟下り」が人気です。また、舟形町の西ノ前遺跡より出土した土偶「縄文の女神」は国宝に指定され、地域のシンボルとなっています。

置賜エリア
県の南部に位置する置賜エリアは、最上川の源流部に当たります。江戸時代には米沢藩が治めたエリアであることから、伊達氏や米沢藩上杉家ゆかりの史跡が多くあります。「米沢上杉まつり」、「上杉雪灯篭まつり」などのお祭りも有名です。赤湯温泉、姥湯温泉などの歴史ある温泉や、米沢牛、ワイン、そばなどのご当地グルメもあり、観光資源が豊富です。

庄内エリア

夏の庄内平野

山形県の北西部に位置する庄内エリアは、山と海に囲まれ豊かな自然に恵まれています。最上川をはじめ多くの河川が流れる肥沃な平野が広がり、日本有数の穀倉地帯となっています。北前船交易で栄えた港町の酒田市、城下町の鶴岡市には往時の栄華をしのばせる遺物があり、山岳修験の聖地である出羽三山とともに観光スポットになっています。

山形県の移住支援策

山形県は県外からの移住希望者に移住支援を行っています。移住支援策を紹介します。

移住支援金
東京圏から山形県に移住した人には移住支援金が支給されます。支援金は、1世帯100万円(18歳未満の世帯員がいる場合は、18歳未満一人当たり30万円加算)、単身での移住の場合は60万円です。

なお、支援対象者は下記の要件を満たしている必要があります。

1.移住前に東京23区内に在住、または東京23区内に通勤。通勤の場合は、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に在住していること。

2.山形県内に移住し、申請後5年以上継続して移住先市町村に居住する意思があること。

3.就業等に関する要件を満たしていること。

詳細は山形県のWebサイト「山形県移住支援事業(移住支援金)」を参照してください。

やまがたチャレンジ創業応援事業
山形県は山形商工会議所とともに、創業をワンストップで支援する「やまがたチャレンジ創業応援事業」を行っています。その取り組みの一つが、すぐれたビジネスプランについて創業に要する経費の一部を最大6ヶ月間助成する「やまがたチャレンジ創業応援事業助成金」です。

地域ニーズにマッチした事業や街の活性化につながる事業、独自性のある事業などが対象で、プランによって助成金の金額が変わります。一般型の場合は50万ですが、他要件に該当するごとに助成金が加算され、最大で140万円が支援されます。

また、地域課題解決型のビジネスプランで、「社会性」「事業性」「必要性」を含む事業内容の場合は助成金が200万円になります。なお、地域課題解決型の助成金交付が決定すると、先に紹介した移住支援金の就業要件を満たすことになります。

山形県へ移住するには

山形県に移住をするには、何から始めたらよいのでしょうか。縁もゆかりもない地方に無計画に移住してしまうと、移住後に後悔するかもしれません。そうならないためには、事前に綿密な計画を立てて準備することをおすすめします。以下に移住をする際にやるべきことを順番に紹介します。

移住の目的を明確にする

地方移住を成功させるには、まずその目的を明確にさせること

まずは、移住の目的を明確にすることが大事です。「豊かな自然の中で生活してみたい」「のんびりと暮らしたい」などと、漠然とした憧れやイメージだけで移住すると、現実の地方暮らしとのギャップに耐えられなくなるかもしれません。

「自然の中で子育てがしたい」「その地方でしかできないことをやりたい」など、明確な目的がある場合は、移住候補地選びから始めましょう。山形県は地域によって特色があり、気候や文化、生活環境などが異なるため、地域ごとの特色などを把握しておくことをおすすめします。

また、家族で移住する場合は、家族の意見にも耳を傾け、意思を確認しておく必要があります。何のために、どのくらいの期間、どのように地方で生活していくのかについて、家族で話し合っておきましょう。

移住相談窓口などでの情報収集もおすすめです。相談窓口は下記の通りで、東京の相談窓口では移住コンシェルジェが、また山形では移住コーディネーターが相談に乗ってくれます。

やまがたハッピーライフ情報センター
〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-10-1
JR有楽町駅隣 東京交通会館(NPO法人 ふるさと回帰支援センター内)
TEL.03-6269-9533

(一社)ふるさと山形移住・定住推進センター
〒990-2492 山形市鉄砲町2-19-68 山形県村山総合支庁3階
TEL.023-687-0777

移住セミナーや移住体験ツアーに参加する
移住セミナーや移住体験ツアーなどのイベントに参加するのもおすすめです。実際に現地に足を運ぶと、現地の様子や雰囲気を直に感じることができます。また、体験ツアーでは地域の人たちや先輩移住者と交流できますし、生活者としての生の声を聞くこともできます。

移住体験ツアーは実施場所や内容がさまざまなので、自分に合ったツアーを選んで参加するとよいでしょう。なお、ツアーには開催日が決まっている期間限定プランのほかに、日程を自由に設定できるプランもあります。

住まいと仕事を探す
移住をする際は、仕事と住まいはあらかじめ決めておきましょう。仕事や住まい探しの情報は、前記窓口のほか「山形県移住交流ポータルサイト やまがた暮らし情報館」などで収集できます。なお、現地でしか得られない情報などもあるため、実際に現地に行って探してみるのもおすすめです。

順番としては、まず仕事を決めてから、通勤しやすい場所に住まいを探すのがよいでしょう。実際に移住するのは、それぞれが決まってからにするのが無難です。住まい探しをする際は、家賃の安さだけで決めずに、生活の利便性や家の状態などもしっかり見極めるようにしましょう。

山形は冬の寒さが厳しい地域です。家賃が安いからと断熱性能が低い古い家などを選んでしまうと、暖房費がかかり、かえって生活費が高額になる可能性もあります。また、地方では車が必需品になるため、家の近くに駐車場があるかどうかも確認しておくとよいでしょう。

まとめ

山形県は山や海、川などの美しい自然に恵まれ、おいしい食材も豊富な魅力的な県です。移住を検討している人は、さまざまな移住支援について、事前に確認しておくことをおすすめします。

ただし、移住するには明確な目的がないと、後悔することになりかねません。目的をしっかりと定めて、念入りに事前準備を行い、後悔のない移住生活を送れるようにしましょう。