東武東上線は、東京都の副都心である池袋から川越市などを経由して、埼玉県北西部の寄居町までを結ぶ路線です。開業から100年を超える歴史があり、沿線の街は良好な都心アクセスから首都圏のベッドタウンとしても発展してきました。今回は、東武東上線沿線の暮らしと筆者おすすめの街を紹介します。

副都心と埼玉北西部を結ぶ歴史ある沿線 新横浜線開業で直通アクセスの範囲が拡大

東武東上線は、1914年開業の歴史ある鉄道路線です。東京都豊島区の池袋駅から埼玉県大里郡寄居町の寄居駅までを結び、池袋〜寄居駅間の路線距離は75.0キロメートル。駅数は39にもなります。

観光地として人気のある川越駅へのアクセス手段としても利用されているほか、ベッドタウンとして発展した沿線の街からの通勤・通学の手段として地域を支えています。また、終着駅の寄居駅には秩父鉄道が乗り入れており、長瀞駅など秩父方面のリゾート地へもアクセスできます。

2008年には、池袋駅〜小川町駅間で有料着席保証列車(通勤ライナー)の「TJライナー」が運行をスタート。森林公園駅、東松山駅、坂戸駅、川越駅、ふじみ野駅などから池袋駅を座席指定で軽快に結びます。朝の通勤時、川越〜池袋間はTJライナー利用で約30分の乗車時間です。

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川越駅前(筆者撮影)

東武東上線の魅力は、他沿線の相互乗り入れを含めた都心方面への良好なアクセスです。首都圏有数のターミナル駅である池袋駅への直通アクセスのほか、東京メトロ有楽町線や副都心線の相互乗入があり、乗り換えなしで都心各方面と行き来することができます。副都心線は、渋谷駅・横浜駅から東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線に直通し、元町・中華街駅までつながっています。さらに、2023年3月18日に相鉄新横浜線・東急新横浜線(羽沢横浜国大〜新横浜〜日吉駅間)が開業し、東海道新幹線が発着する新横浜駅への直通アクセスも可能になりました。

相鉄・東急直通線新横浜駅(筆者撮影)

さらに、ダイヤ改正によって、TJライナー・川越特急の増発、列車種別・停車駅変更等が行われ、東上線全体の利便性・快適性が向上しています。

東武東上線の急行・準急等の停車駅(2023年3月ダイヤ改正以降)(出典:東武鉄道リリース)

2023年3月18日以降は、快速急行の停車駅を志木駅から朝霞台駅に変更し、JR武蔵野線との接続・利便性向上が図られます。また、急行の朝霞駅停車および準急の上板橋駅停車によって、池袋駅への利便性向上も図られています。

川越街道に沿って延びる東武東上線 沿線には多くのニュータウンも

東武東上線は、池袋方面から川越につながる川越街道とほぼ並んで通っています。江戸時代には、上板橋、下練馬、白子、膝折、大和田、大井といった宿場が設けられ、人の往来も盛んだった様子。昔ながらの商店街がある大山駅や上板橋駅など、東京都内の川越街道に近い場所には市街化がいち早く進んだ街も目立ちます。

志木ニュータウンなどの空撮(画像素材:PIXTA)

一方、埼玉県内は、川越駅のように宿場町が市街地として発展したほか、農地などが住宅地として開発された場所も目立ちます。高度成長期以降には、東松山マイタウン、高坂ニュータウン、坂戸ニューシティにっさい、志木ニュータウンなど、主に民間が主導して開発が進められた新しい街も次々に誕生しました。

沿線には、東京都豊島区、練馬区、板橋区のほか、埼玉県和光市、朝霞市、新座市、志木市、ふじみ野市、富士見市、川越市、鶴ヶ島市、坂戸市、東松山市など、多くの市が位置します。このなかで最も人口が多いのは35万人を超える川越市で、人口16万人台の新座市が続きます。沿線には、人口10万人前後の中規模な街が目立ちますが、志木駅のように朝霞市、志木市、新座市が近接する街もあります。

東武東上線沿線で住まいを探す魅力は、通勤利便性が高いにもかかわらず住宅価格がリーズナブルであること。埼玉県内であれば、3LDKタイプの新築マンションや新築戸建てが3,000万円台で検討できる場所もあります。

東京都内であれば、板橋区内の駅などは池袋をはじめとした副都心エリアへもアクセスしやすいのが魅力。たとえば、商店街のにぎわいのある大山駅からは、池袋駅まで直線距離で2キロメートルあまり。タクシーでも往来しやすい近さです。中野区や新宿区など、都心近接エリアと比べて住宅価格も抑えられます。

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東武東上線沿線の住宅事情と注目度の高い2駅

東武東上線沿線の住宅事情は、人口の多い川越などの一部の駅を除いては、ほかの沿線と同様に都心エリアに近くなるとともに価格が高くなる傾向にあります。また、急行停車駅や始発電車のある駅は、通勤利便性が高く人気があります。東京メトロ有楽町線が乗入れる和光市駅や、成増駅などがこれに該当します。

埼玉県内の東武東上線沿線では、新築マンション分譲が活発に行われています。和光市駅や朝霞駅、志木駅などは、東京駅から25キロメートル圏内に立地。京王線の府中駅などよりも東京に近いロケーションです。東京都内と比べてマンション用地の確保もしやすいため、戸数規模の大きな大規模マンションの分譲も見られます。

価格設定は駅距離や駅ごとにまちまちです。和光市駅や朝霞台駅、志木駅などは、駅近立地の新築マンションとなると3LDKタイプで5,000万円台以上の価格帯になります。一方、志木駅より川越方面に向かう先の駅では、3LDKタイプの新築マンションが3,000万円台から検討できる駅も少なくありません。予算重視で考えるなら、駅からの距離を広げる、もしくは、沿線広域に検討エリアを広げても良いかもしれません。

みずほ台駅前(筆者撮影)

沿線のなかで注目度が高いのは、東京メトロ有楽町線・副都心線の始発が利用できる和光市駅と、埼玉県内3位の人口を誇る川越市の中心である川越駅の2駅です。

和光市駅は、2020年の駅ビル開業や2021年の複合施設「わぴあ」の誕生など生活利便性が向上し、駅北口の土地区画整理事業もこれから進められます。川越駅は、駅周辺の商業施設の充実など商業利便性がとても高く、マンション価格も相応の設定になっています。

和光市駅、川越駅の街の詳細は、ARUHI マガジンの下記記事を参考ください。

【参考記事】
和光市の再開発進行でいよいよ住宅供給が増える?! 利便性だけじゃない街の魅力を紹介
小江戸「川越」 、住むならどの駅? 蔵造りの町並みと利便性が共存する川越市の住宅事情

大山駅や上板橋駅で再開発の動き さらに便利で住みやすい街に

大山駅(画像素材:PIXTA)

都内の東武東上線沿線では、大山駅、上板橋駅などで再開発の動きが見られます。大山町クロスポイント周辺地区では、2017年10月に第一種市街地再開発事業が都市計画決定。ハッピーロード大山商店街とその周辺の4つの街区で、商業施設や子育て支援施設とともに住宅が整備されます。そのうち2街区では、25階建てと26階建ての2棟のタワーマンションを建設。全体計画戸数345戸のマンションとして分譲されます(一部住戸除く)。また、川越街道に近い大山町ピッコロ・スクエア周辺地区でも2022年3月に、第一種市街地再開発事業として都市計画決定。今後、街づくりが進められます。

東武東上線上板橋駅では、2021年3月に上板橋駅南口駅前東地区市街地再開発組合の設立が認可されました。2023年2月には、権利変換計画が認可され今後工事が進められていきます。市街化がいち早く進んだ東京都内の東武東上線沿線は、木造住宅の密集地域など防災面が課題でしたが、再開発が進めば防災性や生活利便性がさらに高まりそうです。

上板橋駅南口駅前東地区第一種市街地再開発事業(完成イメージ)(出典:板橋区ホームページ)

続いて、東武東上線沿線の筆者おすすめの駅をいくつか紹介します。

JR武蔵野線北朝霞駅と乗り換えも可能 マンション開発も活発な朝霞台駅

朝霞台駅前(筆者撮影)

一つ目は、埼玉県朝霞市に位置する朝霞台駅です。朝霞台駅は、東武東上線の川越特急や快速急行も停車する交通利便性の高い街。池袋駅へは川越特急で約16分という良好なアクセスに加え、JR武蔵野線北朝霞駅へも乗り換えが可能。JR埼京線や京浜東北線、中央線へのアクセスも良好で、東武東上線のなかでもフットワークの良い街と言えるでしょう。

高台に建つマンション群(筆者撮影)

朝霞台駅は武蔵野台地の高台に位置し、駅の北東側には新河岸川が、南東側には黒目川が流れています。黒目川に向かって高低差があるため、見晴らしや日当たりの良いマンションが多いのも特徴。野球場のある北朝霞公園など、自然を感じられる場所も身近にあります。駅周辺には、オリンピック朝霞台店など買い物施設が点在。ドラッグストアなどもあり、生活しやすい住環境です。

新築マンションの供給が比較的多いエリアで、3LDKタイプが4,000万円台から分譲されています。また、中古マンションストックも豊富にあり、駅距離にこだわらなければ3LDKタイプが3,000万円台で十分検討可能です。

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駅前にマルイファミリーやイオンなど買い物施設が充実 文教の街でもある志木駅

志木駅前に立地するマルイファミリー(筆者撮影)

志木駅南口(筆者撮影)

二つ目に紹介したいのが志木駅です。朝霞台駅より川越方面に1駅の場所で、志木市、新座市、朝霞市の三つの行政区が生活圏になります。慶應義塾志木高等学校や立教新座中学校・高等学校のある立教大学新座キャンパスがあり、文教の街としても知られています。児童公園など子どもが遊べる公園も身近にあり、子育て環境が充実している街です。

志木駅の街並み(筆者撮影)

志木駅で注目したいのは、駅周辺の商業施設が充実していること。マルイファミリー志木やイオン新座店などの大型商業施設が立地するほか、カスミフードスクエア志木店やEQUiA志木、島忠ホームズ新座店など、駅の南口、北口の両側とも買い物施設が充実しています。新座志木総合中央病院をはじめ医療施設もそろっているので、暮らしの安心感もあります。

志木駅の大規模マンション(筆者撮影)

イオン新座店(筆者撮影)

志木駅周辺も新築マンション分譲が活発です。生活利便性の高い街でもあり、3LDKタイプは駅近であれば5,000万円を超える予算は必要です。大規模マンションなどの中古マンションストックは豊富で、予算が4,000万円台なら選択肢は豊富にあります。新築マンションと中古マンションを一緒に検討するのも良いでしょう。

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イオンタウンなど商業施設が充実の上福岡駅 新築マンション3LDKが3,000万円台から

上福岡駅西口駅前(筆者撮影)

筆者おすすめの駅三つ目は、ふじみ野市に位置する上福岡駅です。ふじみ野市は、2005年に上福岡市と入間郡大井町が合併してできた街。上福岡駅はふじみ野市の唯一の鉄道駅になります。高度経済成長期に上野台団地(現在URコンフォール上野台)が誕生するなど、ベットタウンとして発展した場所です。

ふじみ野市役所(筆者撮影)

福岡中央公園(筆者撮影)

2006年には上福岡駅西口駅前の市街地再開発事業によって、商業施設や公益施設、クリニック、住宅からなるココネ上福岡が街開きするなど、都心勤務者の住宅エリアとしての街づくりが行われてきました。広々とした芝生の広場がある福岡中央公園など、憩いの場も設けた住宅中心の計画的な街づくりが魅力的です。

イオンタウンふじみ野(筆者撮影)

近年、上福岡駅では、商業施設が相次いで開業しました。2020年11月に開業したイオンタウンふじみ野は、敷地面積5万3,000平方メートル超、駐車場台数1700台超、店舗数90店舗超の大型複合商業施設。3階建ての建物内には、スーパーマーケットであるイオンスタイルふじみ野を中心に多彩なお店がそろっています。

2021年7月にはヤオコーふじみ野大原店がオープンしたほか、隣接する富士見市にある大型商業施設「ららぽーと富士見」は、車利用であれば約5キロメートル圏に位置しています。家族で買い物するのに便利なロケーションであるうえ、行政機能を担うふじみ野市役所があり、上福岡総合病院などの医療施設も充実。ファミリー層に暮らしやすい街と言えるでしょう。

ヤオコーふじみ野大原店(筆者撮影)

上福岡駅では、総戸数700戸超の大規模新築マンション「Brillia City ふじみ野」が分譲中。4,000万円前後の手の届きやすい価格で3LDKタイプの住戸が販売されています(2023年4月末現在)。また、新築戸建ての分譲も活発で駅徒歩圏でも4,000万円台で十分検討可能。マンションと戸建てを比較しながら検討するのも良いでしょう。

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上福岡駅の大規模新築マンション「Brillia City ふじみ野」(筆者撮影)

都心直通の利便性がありながら自然豊かで価格もリーズナブルな東武東上線沿線の街ですが、留意したいポイントは川越街道など渋滞が発生しやすい点です。川越街道は、埼玉県と東京を結ぶ大動脈で、物流などにも利用されて交通量も多い状況。現在、和光富士見バイパスの2期整備が行われており、開通すれば渋滞の緩和が期待できます。沿線には、ショッピングモールや大型公園などもあり、車も併せて利用すればより豊かなライフスタイルがかないます。

100年を超える歴史ある鉄道路線で、多くの魅力ある街がそろう東武東上線沿線の暮らし。戸建てもマンションも都心部より予算を抑えて十分探すことができそうです。池袋からの電車アクセスも良好なので、東武東上線沿線の気になる街を訪ねてみてはいかがでしょうか。

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