ガレージハウスとは、住宅の一角に車を駐車できるガレージを組み込んで一体化した住居のことです。ビルトインガレージやインナーガレージとも呼ばれています。

建物の中に車を置けるため、車を所有する人や、子育てや介護をする人にとっても多くのメリットがあります。今回は、ガレージハウスとは何か、ガレージハウスのメリットやデメリットなどを紹介します。

ガレージハウスとは

ガレージとは車庫や駐車場のことです。一般的には車を外の駐車場か専用のガレージに置くことが多いですが、ガレージハウスは住宅の一部にガレージを組み込んで、車を置くスペースと居住スペースとを直結している点が特徴です。

車やバイクが好きな人にとって、ガレージはたんに車を駐車する場所ではなく、整備をしたり鑑賞したりする場所として重要な意味を持ちます。ガレージハウスなら、愛車と一緒に自分の部屋のようにくつろいだり、いつでも好きなときに手入れしたりできる趣味の空間として使える点が魅力です。

ガレージハウスは、特に戸建て住宅で多く見られる作りですが、賃貸やシェアハウスなどでもガレージを備えた物件が見つかります。

ガレージハウスのメリットとは

部屋や玄関から直結してガレージまで行けるのは、車愛好家や子育て中の方、介護をしている方にとっても多くのメリットがあります。以下に、ガレージハウスの主なメリットについて紹介します。

愛車を近くに置ける
ガレージハウスは車を建物の中に置けるため、屋外の駐車場や屋根付きカーポートなどに比べて、風雨から愛車を守ることができることが大きなメリットです。花粉や黄砂、鳥の糞などの汚れも防止できます。

また、軽視できないのが紫外線による悪影響です。車の外装や内装は、紫外線によって塗装の色あせや日焼け、レザーシートやゴムの劣化などを引き起こします。ガレージハウスならそれらを防げるため、愛車の寿命を延ばせるでしょう。

さらに、屋外に駐車するよりも、盗難や車上荒らしや損傷などにより車が被害に遭うリスクを減らせます。

雨に濡れずに乗車できる
ガレージハウスなら、玄関や部屋から直結で行き来でき、建物の中で車に乗り降りできます。そのため、体や荷物が雨になれる心配がありません。風雨が強くても、ドアやトランクを大きく開けたまま乗り降りや荷物の積み下ろしができます。車内に雨が吹き込んだり、濡れた傘を置いて床やシートを濡らしたりすることもありません。

家の出入り口からすぐ行き来できるため、小さな子どもたちを車に乗せる際も落ち着いて乗り降りできます。お年寄りや車いす利用の方も楽に乗り降りできるでしょう。

多目的に利用できる
ガレージのスペースが広い場合は、車以外のものを置くための収納スペースとしても有効活用できます。バイクや自転車、ベビーカー、スノータイヤ、アウトドア用品、ガーデニンググッズなどを収納して置くのもいいでしょう。

また、車を整備したり趣味の部屋として利用したりする方法もあります。内装などもこだわった趣味の空間としてワークテーブルやチェアなどを置いたり、防音仕様にして楽器練習やカラオケを楽しんだり、筋トレマシンで運動したり、防災用品や備蓄品を置いたりなど、工夫次第で多目的に利用できます。

駐車場代がかからない
自宅の敷地に駐車スペースがない場合、近隣に駐車場を借りる必要があります。都心などエリアによっては、自宅から離れた駐車場にしか空きがなかったり、高額の駐車場代がかかったりする場合もあるでしょう。

その点、ガレージハウスなら自宅に車を置けるため、余分な駐車場代を支払う必要もありません。家族で複数台の車を所有している場合も、台数分の駐車場代がかからないため節約になります。

ガレージハウスのデメリットや注意点

ガレージハウスにはメリットがある反面、デメリットや注意点があるため、以下に解説します。

エンジン音が響く
間取りによっては、ガレージ内の騒音が居住スペースまで響く可能性があります。たとえば、シャッターの開閉音や車のエンジン音、ドアを開け閉めする音などが、ガレージ内で反響して大きく聞こえることがあります。

深夜など周囲が静かなときに、車の音が気になるという声も聞かれます。騒音が気になる場合は、エンジン音が小さい車種に買い替えるか、ガレージや室内に何らかの防音対策を施す必要があるでしょう。

居住スペースが狭くなる
ガレージの広さにもよりますが、最低でも車一台を停めてスムーズに乗り降りできるだけのスペースが必要になります。そのぶん、1階部分の居住スペースが狭くなることは覚悟しなければなりません。

リビングの面積を広く取りたい場合は、日当たりがよくゆとりある2階にリビングを設ける方法もあります。また、3階建てにすることも有効です。ただし、縦移動の動線が長くなり、その分階段の上り下りが大変になってしまいます。

車種が限定される
ガレージのスペースが狭い場合は、所有している車や、将来的に買い替える車のサイズが限定されてしまいます。家族が増えたので大きな車種に買い替えたい、車中泊の旅をするので幅が広く長さのある車に乗りたいと思っても、希望の車種を諦めなければならないこともあるでしょう。

また、駐車スペースが狭いと、毎回の車の出し入れに高度な運転テクニックが必要になったり、車を出すことが億劫になってあまり乗らなくなったりする可能性もあります。

ガレージハウスの固定資産税

持ち家の場合、土地や建物の固定資産税を毎年納める必要があります。土地や家屋の資産価値を算定した固定資産税評価額が高いほど、税金が高くなるのが一般的です。通常は、家屋の床面積が広いほうが固定資産税評価額は高くなります。

ところが、ガレージハウスの駐車スペースは、住宅全体の床面積の5分の1までは参入しなくてよいとされているため、建物の評価額が下がれば固定資産税も安くなるのです。ただし、増築した場合や電動シャッターを設置した場合は評価の加算対象となるため、固定資産税評価額が上がる可能性があります。

まとめ

ガレージハウスとは、建物の内部に車庫が組み込まれた住居のことを指します。住居と同じ建物内にガレージがあるため、利便性や防犯上のメリットが多くあります。また、ガレージとしてだけではなく、さまざまな利用方法がある点も魅力です。

ただし、騒音や居住スペースが狭くなるなどのデメリットもあるため、メリットとデメリットをよく知り、デメリットの対策などを十分に練ったうえで設置することをおすすめします。