2020年はコロナ禍の影響で、在宅勤務が一気に加速しました。柔軟な働き方ができるようになった一方で、「在宅勤務だと保育園に入れないのでは?」と心配になる人も多いのではないでしょうか。育休中や求職中のママ・パパは気が気ではないですよね。そこで、在宅勤務でも保育園に入園できるのか、入園条件や入園しやすくするためのポイントなどを調べてみました。
※この記事の「保育園」は認可保育所、認定こども園を指します

在宅勤務でも保育園には入れる?

在宅勤務が理由で保育園に入れないことはありません

結論から言うと、在宅勤務を理由に保育園の入園を断られることはありません。しかし、共働き家庭やひとり親家庭を不安に陥れたのは、2020年4月7日に緊急事態宣言が出された直後でした。東京都が示した「考え方」は、保育の規模を縮小するために仕事を休める保護者には登園自粛を依頼するというものでした。

さらに、保護者のいずれかが在宅勤務の場合は登園を控えるよう呼びかけられたのです。これは、仕事が休めない人に必要な保育が提供されるようにすることが目的だったのですが、在宅勤務をしながら育児をしなければならない保護者にとっては壮絶な日々の始まりでした。

一方、この騒動によって、在宅勤務をしながら育児をすることの大変さに対し、社会的共感が高まりました。以前は、会社で働くのと家で働くのでは、保育園への入りやすさに差がありました。在宅勤務が可能なプログラマーやライターなどのフリーランスは、自宅で育児ができるとみなされて「内職」と同じ扱いでしたが、千代田区やさいたま市は格差を撤廃する方針です。

2017年末から厚生労働省は各自治体に対し、働く場所による格差をつけないように通達を出していたことを踏まえると、この動きがコロナ禍で一気に加速したといえます。

入園のための必要書類の用意

必要書類の準備はお早めに

保育園に入園するためには、働き方によって必要な書類を集めておく必要があります。保育園の申し込みが始まる前に、必要書類を確認しておくと、あわてずに済むでしょう。

会社勤めなどの場合
会社勤めなどの場合に必要なのは、就労証明書(勤務証明書)です。就労証明書とは、その名のとおり、就労の実態を把握するための書類であり、勤務先や就労日、就労時間、収入などを記載します。就労証明書は自治体によって様式が異なるため、役所でもらうか、自治体のホームページからダウンロードして印刷します。それを、勤務先の担当者に記入してもらいましょう。

保育の必要性を証明するには、両親がともに働いている証明が必要なので、夫婦それぞれの勤務先から就労証明をもらう必要があります。保育園の申し込みが始まる前に、パートナーにも知らせておくと安心かもしれません。

個人事業主(フリーランス)、経営者の場合
個人事業主や経営者の場合は、就労証明書に加えて、前年分の確定申告書控えのコピー、または営業許可書・開業届などのコピーが求められることがあります。直前になってあわてないように準備しておきましょう。

就労証明書には、会社勤めなどの場合と同じように、就労時間や収入などを記載する必要があります。ただ、これらの記載は保護者本人が行います。自分で記入して印鑑を押すので、タイミングが自由なのはいいのですが、後回しにしてしまいがちです。必要書類のこともあるので、早めに準備をしましょう。

会社勤めなどの場合も、個人事業主の場合も提出が必要な就労証明書。これは、1度きりの提出ではありません。入園後も、定期的に就労証明書の提出が求められることがあるので、注意しましょう。

保育園に入園できる条件とは

幼稚園の場合、園に願書を提出し、場合によっては面接を行ったうえで、幼稚園が入園を許可します。一方、保育園は自治体から「保育の必要性」について認定を受けないと利用できないため、役所に必要書類を提出する必要があります。保育園に入園できる条件について、確認してみましょう。

認可保育園の給付認定
「待機児童」という言葉があるほど、保育園には空きが少ないと言われています。その背景としては、核家族化の進行とともに共働き家庭が増加し、保育園への入園を希望する家庭が増えていることが挙げられます。保育園を利用するには、行政によって給付認定を受ける必要があります。これは、「保育が必要であるかどうか」と「子どもの年齢」によって、以下の三つに分けられます。

保育が必要な2号認定・3号認定を受けると、認可保育園・認定こども園などの利用が認められます。1号認定の場合、利用できるのは、幼稚園・認定こども園です。認定こども園は幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設なので、1号認定・2号認定・3号認定の子どもが対象です。

保育園は、2号認定、3号認定の子どもが対象となりますが、「共働きでも幼稚園に入園させたい」という場合は、1号認定を受けることも可能です。

入園するための点数
保育園には定員があり、定員割れしていない限り、希望者全員が入園することはできません。「誰を入園させるか」を決めるために、優先順位の高い家庭から順番に入園させることになっています。この優先順位を決めるのが、選考指数(点数)です。この点数が高ければ高いほど、優先順位が高くなり、希望の保育園に入りやすくなるのです。選考指数は、「基準指数」と「調整指数」の合計になります。

基準指数とは、保護者の就労状況や介護・看護、保護者の健康状態などによって数値化されます。たとえば、就労状況では、保護者が時短勤務かフルタイム勤務かを比較すると、フルタイム勤務のほうが加点が大きくなります。

時短勤務よりもフルタイム勤務のほうが、保育の必要性が高いとみなされるためです。調整指数とは、自治体によって異なる基準で調整する数値です。多いのが、希望する保育園に兄弟姉妹が在園していて加点となるケースです。ほかにも、同居の祖父母がいれば減点など、自治体によって選考方法は異なります。

また、在宅勤務が点数に影響を与えるケースも多いようです。自治体によって違いがありますが、居宅外で働く正社員のほうが点数が高くなる傾向にあります。ただ、先述したように、在宅勤務と育児の両立が難しいことが世間に認知され、居宅内でも居宅外でも同じ点数にしようとする動きが出てきています。すでに、同じ点数にしている自治体もあるので、確認してみましょう。

両親ともフルタイム勤務だと、満点になる場合が多く、「確実に保育園に入園できる」と思われがちですが、激戦区だとそうもいきません。同じ点数の家庭があった場合、所得の低い世帯を優先させたり、居住歴が長い世帯を優先させたりすることで優先順位をつける場合があります。自治体によっては優先順位を公表していないところもあるので、注意が必要です。

保育園に入園するための工夫

保育園の入園には優先順位があるとはいっても、できるものなら希望の保育園に入園させたいですよね。なかには、育休明けの復職までに保育園が決まらないと死活問題という家庭も多くあります。そこで、少しでも保育園に入園しやすくするためのポイントを3つ紹介します。

勤務状況

妊娠中でも「時短勤務」より「フルタイム勤務のままの在宅勤務」のほうが有利

勤務状況は基準指数の一つです。これは、産休前の就労状況が基準になるため、産休前にフルタイムで働いていた人は有利だといわれます。ただし、妊娠中に体調が優れず、時短勤務に切り替えた人もいるでしょう。そうすると、時短勤務の就労時間が基準になってしまいます。

もちろん体調が第一ではありますが、可能であれば在宅勤務にしてもらうなど、フルタイム勤務のまま無理なく働けないか、一度会社に相談してみるとよいでしょう。

認可外保育施設の利用
保活激戦区だと、たとえ両親がフルタイム勤務だったとしても入園できないことも多々あります。特に、初産は兄弟姉妹の加点がない分、入園のハードルが高くなってしまうことも。そこで、認可保育園に入るために、まずは認可外保育施設に預けるという方法もあります。

自治体が定める調整指数には、「就労による認可外保育施設やベビーシッターの利用実績」も加点対象となる場合が多く、認可保育園に入園するのに有利に働きます。

もし、認可保育園に落ちてしまったら、認可外保育施設に預けながらフルタイム勤務を続け、次の年の4月入園を狙うというのも一つの方法です。そうすれば、ほかのフルタイム勤務の保護者よりも加点が多い分、認可保育園に入りやすくなるでしょう。

競争率の高い保育園は避ける
これ以上、点数を稼ぐのが難しい場合は、人気の保育園を避けて申し込みをすると、入園しやすくなるといわれています。保育園の申し込みをするときには、希望する園をいくつか記入します。前年度に申し込みが多かった園などを調べておくと、入りやすさの目安にできるかもしれません。仕事復帰の時期が決まっていて、子どもを預けられないと困る場合は、倍率が低い園に申し込むとよいでしょう。

まとめ

保育園への入園は今や「保活」という言葉があるぐらい大変ですが、国も自治体も優先課題として取り組んでいます。在宅勤務だと入園に不利だと言われていましたが、在宅勤務と育児の両立が難しいことを多くの人が実感し、働く場所での点数の差をなくす動きが広がっています。企業も働き方改革の一環として意識しているので、会社や役所などと相談しながら、家族にとってより良い方法を選択しましょう。