夫婦がともに働いている共働き世帯には、正社員のフルタイム勤務だけでなく、扶養内でパートタイム勤務をしている人など勤務形態はさまざまです。扶養にこだわらず正社員で働くべきか、扶養内で働いたほうがいいか迷っている人は少なくないでしょう。

この記事では、パートで共働きをしている家庭に注目し、メリットやデメリット、注意点などを解説します。

パートで共働きをしている世帯について

共働き世帯とはどのような世帯なのでしょうか。共働き世帯のなかでもパート勤務を選択している世帯に注目し、共働き世帯の現状などについて解説します。

共働き世帯の現状とは

夫婦がともに働いている共働き世帯は、年を追うごとに増えています。令和2年版「厚生労働白書」によると、妻が専業主婦をしている世帯582万世帯に比べ、共働きをしている世帯は1,245万世帯でした。共働き世帯のほうが圧倒的に多い状況です。

ただ、共働き世帯のなかでも妻がパートタイマーなどの非正規雇用者である世帯は半数以上あります。

共働き世帯のなかでも、夫婦ともに正社員で扶養に入らずに働くか、扶養内で働くか迷っている世帯も多くあるでしょう。

出典:厚生労働省「共働き等世帯数の年次推移」
    総務省「平成30年労働力調査年報」

パートも共働きと判断する

基本的に、どちらかがパートとして働いている世帯でも、夫婦ともに働いていれば「共働き」に含められます。

しかし、なかには夫婦ともに正社員として働いている世帯のみを共働きと表現すべきだという意見があるのも事実です。インターネット上で、共働きの定義について議論が巻き起こったこともあります。

この背景には、パートは正社員よりも気楽で簡単な仕事だというイメージがあると考えられます。しかし、実際にはパートだからといって必ずしもラクなわけではありません。

総務省をはじめとする国の機関では、統計を取る際にはパートを共働きに含めています。夫婦のどちらかがパート勤務だとしても、共働き世帯とみなして問題ないでしょう。

家庭を優先しパートを選ぶ人は多い

日本においては、収入の高さよりも家庭を優先して職を選ぶ人が多い傾向にあります。正社員ではなくパートを選ぶ理由は、家族との時間を大切にしたいからという人も珍しくありません。

また、なかには最初は正社員を希望していたものの、子どもが保育園に入れない、自分や家族が病気になるなど、やむを得ずパートを選ぶ場合もあるでしょう。

共働きでパートを選ぶメリット

家庭の事情に合わせて労働時間を調節しやすい働き方

共働きでパートとして働く場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、共働きでパートを選ぶ具体的なメリットについて解説します。

家庭の事情に合わせやすい

パートとはパートタイム・有期雇用労働法の対象となっている働き方であり、もともと定められている所定労働時間よりも短時間だけ働く人を示しています。そのため、パートを選べば必然的に働く時間は正社員よりも短くできます。

実際に勤務する職場にもよりますが、パートを選べばプライベートを優先した働き方を受け入れてもらえる可能性が高いでしょう。

家族の急な病気や子どもの学校行事など、家庭の事情に合わせて労働時間を調節しやすい働き方です。

扶養に入れる

パートで働く従業員にはシフト制を採用している企業が多いため、そのときどきの都合に合わせて労働時間を調節できます。そのため、世帯主の扶養に入るくらいの年収になるよう調節が可能です。

配偶者の年収が一定の基準を下回っている場合、世帯主は所得税において配偶者控除を受けられます。また、社会保険における扶養親族になれれば、配偶者自身は社会保険料を納付しなくても保障を受けられます。

国民年金についても第3号被保険者となるため、年金保険料を支払わずに国民年金を満額受け取る権利も得られます。

扶養の条件については、さらに後述するので改めて確認しましょう。

また、配偶者控除や配偶者特別控除については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

関連記事:配偶者控除と配偶者特別控除の改定。150万円の壁に注意すれば大丈夫?

共働きでパートを選ぶデメリット

共働きでパートを選ぶと、なかにはデメリットとなる部分もあります。ここでは、共働きでパートを選ぶときに発生するデメリットについて解説します。

正社員よりも年収は低い

パートと正社員を比べると、正社員のほうが平均年収は高いです。以前よりは差が縮まっていますが、それでもパートで正社員並みに稼ぐのは難しいでしょう。

そのため、共働きとしてパートを選ぶと世帯年収も下がり、家計に入るお金は少なくなるケースが多いでしょう。住宅の購入や子どもの進学のときなどに、選択肢が限られてくる可能性もあります。

出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査の概況」

老後資金に差が出る

パートとして扶養内で働けば、社会保険料を支払わなくても将来的に国民年金を満額受け取れます。そのため、老後資金もある程度は確保できるでしょう。

ただし、扶養に入っている第3号被保険者が受け取れるのは、国民年金だけです。一方、正社員として働いて保険料を納めていれば厚生年金ももらえるようになります。そのため、パートとして働いていた場合よりも年金として高い金額を受け取れます。

正社員と扶養内のパートを比べると、老後資金に大きな差が出ることもあるでしょう。

共働きでパートを選択するときの注意点

一定以上の年収を得られれば扶養から外れることも

共働きでパートを選択する人もたくさんいますが、実際に働くうえでは注意したい点もあります。ここでは、共働きでパートを選択する際に気をつけたいポイントを解説します。

パートでも扶養から外れる可能性がある

扶養に入る条件は雇用形態ではなく、年収によって決定します。そのため、パートを選んでも、一定以上の年収を得られれば扶養から外れてしまいます。

配偶者の扶養から外れると社会保険料の支払い義務が生じ、家計において支出が増えることになります。そのほか、配偶者や自分自身が支払う所得税額も上がる可能性もあるでしょう。

もし、パートとして扶養内で働きたいのであれば、扶養に入るための条件を正しく理解しておかなければなりません。詳しい条件については、以下で解説します。

扶養に入れる条件とは

社会保険において配偶者の扶養に入ることができる条件とは、年収130万円未満かつ配偶者の年収の2分の1未満です。しかし、年収が配偶者の2分の1以上となっていても、配偶者の年収を上回らなければ扶養が認められる可能性もあります。

この扶養の条件を満たすと被扶養者になり、自分で社会保険料を支払わなくても配偶者の勤務する企業の健康保険に加入できます。また、国民年金は満額を受け取ることが可能です。

ただし、配偶者が国民健康保険に加入している場合は、扶養という概念はなく、家族の人数分の国民健康保険料の支払いが必要です。

ただし、世帯の所得が一定以下であれば、市区町村ごとに定められている免除制度を利用できます。たとえば、東京都板橋区の場合、世帯の総所得が「43万円+(給与所得者等の数−1)×10万円」以下なら、国民健康保険料の7割について免除されます。

また、世帯主が所得税で有利となる配偶者控除や配偶者特別控除の対象となるのは、年収201万6,000円未満までです。年収150万円を超えると、控除額は少しずつ減額されます。

なお、年収103万円を超えると、基礎控除48万円と所得控除55万円の合計額を超えるため、パートであっても所得税が発生します。

まとめ

共働きの場合、パートとして扶養内で働けば、所得税や社会保険についての優遇を受けられます。ただし、世帯年収も減ってしまうため、家計に入る金額はどうしても少なくなるでしょう。

とはいえ、パートであれば家庭の都合に合わせて勤務が可能です。子どもの世話をしながら正社員として働くのは難しい部分も多いため、家庭の状況に合わせて無理なく働ける方法を選びましょう。