共働きが増えるなか、世帯年収850万円を実現できた夫婦も多いのではないでしょうか。世帯年収850万円を超えると生活にゆとりが出ると思いがちですが、教育費や生活費が多くなると、余裕がなくなることもあります。世帯年収850万円を達成しても、家計管理は重要です。今回は、世帯年収850万円の家計状況や住宅ローンなどについて解説します。

世帯年収850万円の割合はどのくらい?

世帯年収850万円の世帯は、全体のなかでどれくらいの割合を占めているのでしょうか。厚生労働省の調査によると、全国の1世帯当たりの平均所得金額は551万6,000円、中央値は423万円となっています。また、世帯の種類別で見てみると「児童のいる世帯」では、1世帯当たりの平均所得金額は743万6,000円となっています。

このように、世帯年収850万円は「世帯所得金額の平均値」「世帯所得金額の中央値」「児童がいる世帯の平均所得金額」のどれよりも多くなっています。

また、世帯年収が800万〜900万円の世帯は全体の約4.5%です。世帯年収850万円の世帯の割合は、全体から見てもかなり少なく、比較的裕福な家庭と考えることができます。

出典:厚生労働省「平成30年 国民生活基礎調査の概況」

世帯年収850万円の家計費割合はどのくらい??

世帯年収850万円は全体に占める割合が低く、比較的裕福な世帯であることがわかりましたが、家計費割合はどのようになっているのでしょうか。世帯年収が850万円あっても、家計管理をしっかりとしなければ余裕がある生活を送ることはできません。ここでは、FPがおすすめする理想の家計割合について、詳しく解説します。

食費

単身世帯以外の二人以上世帯では、食費は約15%に収めることが理想的です。世帯年収850万円の人の手取りは家庭の状況によって異なりますが、手取り630万円と仮定した場合は年間で約95万円、毎月約8万円程度が目安となります。

2021年1月分の最新の家計調査報告によると、実収入469,254円のうち、食費は74,250円となっており、約15.8%となっています。このことから、「理想の食費は家計の15%」は実態にも合っていると考えることができます。

食費は節約しやすい費目ではありますが、健康的な生活を送るためにも、減らしすぎないことが大切です。食費は家計の15%をしっかりと確保して、健康的な食生活を送るようにしましょう。

出典:総務省「家計調査報告−2021年(令和3年)1月分−」

住居費

世帯年収850万円の世帯における理想の住居費は、手取り年収の約25%です。世帯年収850万円、手取り額650万円の場合は、年間で約162万円、毎月約13万5,000円程度が目安となります。

ただし、住居費は家族構成や住んでいるエリアによっても変わってきます。例として、東京都内のファミリー層向けの「3LDK/4K以上」の物件を見てみましょう。一番相場が高い港区は31.9万円、最も安い葛飾区は11.3万円となっており、住む場所によって家賃に大きな差が出ることがわかります。

また、例として文京区内だけを見てみると、「2LDK/3K/3DK」の物件は約17万円、「3LDK/4K以上」の物件は約21万円となっており、広さによっても家賃に大きな違いがあります。

このように、家賃は住むエリアや広さによって大きく変わります。家賃は家計で大きな割合を占める固定費であり、簡単に減らすことはできないため、家計の25%程度にしっかりとおさめることが大切です。世帯年収850万円の世帯が住む場所を決めるときには、家賃が毎月13万円におさまるようなエリアや広さを選ぶようにしましょう。

出典:スーモ「東京都の家賃相場・賃料相場情報を探す」

教育費

教育費は、子どもの年齢によっても変わってきますが、小学生以下の子どもがいる場合は手取り収入の約10%、中高生の場合は約15%が目安となります。世帯年収850万円で手取りが630万円の場合は、小学生以下の子どもの場合は年間約63万円、毎月約5万3,000円が目安となります。

また、子どもが中高生の場合は、年間約94万円、毎月約7万8,000円に収めるのが理想です。ただし、子どもの数によって、1人当たりにかけられる教育費の金額が大きく変わってきます。

文部科学省が行った「平成30年度子供の学習費調査」によると、学習費総額は公立小学校で年間約32万円、公立中学校で年間約49万円、公立の高等学校で年間約46万円となっています。また、私立小学校では約160万円、私立中学校では約141万円、私立高等学校では約97万円となっています。

大学費用を見ると、国立大学の初年度納入金は約82万円、私立大学の初年度納入金は約134万円です。

子どもの人数や年齢、進学先によっては、教育費が全体の15%に収まらない時期も出てきます。足りない分は貯蓄で補えるよう、教育費のための貯蓄をできるだけ早く始めるようにしましょう。

出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査 調査結果の概要」   
文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

世帯年収850万円で住宅ローンを組む場合の借入額は?

世帯年収850万円で住宅ローンを組む場合、問題なくお金を借りられる可能性が高いと考えることができます。

「フラット35利用者調査」によると、【フラット35】利用者の年収倍率は5.5〜7.3倍となっています。よって、世帯年収850万円の世帯の借入額としては、約4,675万〜約6,205万円の範囲の世帯が多いと考えることができます。

また、1ヶ月当たりの予定返済額の比率は、以下の表のようになっています。

この調査から、住宅ローン返済の家計に占める割合が、20〜30%未満の世帯が多いことがわかります。

仮に4,700万円の住宅ローンを35年、固定金利1%で借りた場合の月々の返済額は13万3,000円となり、手取り630万円の世帯の場合は、約25%となります。

家計における返済額の割合が25〜30%未満の世帯も多くなっていますが、住宅ローン返済は固定費であり、節約をして減らすことができない費目です。将来家計が苦しくならないためにも、返済負担をできるだけ20〜25%に収めるようにしましょう。

出典:住宅金融支援機構「2019年度 フラット35利用者調査」

年収850万円の世帯における家計管理のコツ

年収850万円の世帯は、全体のなかでは比較的裕福ではありますが、支出も多くなりがちです。そのため、しっかりと家計を管理する必要があります。それでは、世帯年収850万円の世帯における家計管理のコツについて、詳しく解説します。

世帯全体で収支を把握する

国税庁の民間給与実態統計調査(令和元年分)によると、日本の平均給与は436万円で、男性の平均が540万円、女性の平均が296万円となっています。このようなことから、世帯年収850万円以上の場合、共働き世帯が多いと考えられます。

共働きの場合、お互いのお金について話し合いにくいということもあり、毎月の収支や貯蓄について把握せずあいまいにしがちです。また、収入が多い分、支出も多くなる傾向にあります。家計のムダを省くためには、2人のお金をまとめて管理し、お互いが家計の状態を確認できるようにしておくことが大切です。

夫婦でトラブルなく家計を管理するためには、いくつかの方法がありますが、夫婦共有の口座を作り、共同で管理する方法がおすすめです。「食費」「水道光熱費」といったように、お互いが担当する費目を決め、各自で共有口座に入金するようにします。

お互いがどの費目を担当するかということは、最初にしっかりと話し合い、お互いに納得した状態で始めるようにしましょう。

出典:国税庁「民間給与実態統計調査(令和元年分)」

資産形成をする

世帯全体の収支を把握したら、毎月の貯蓄額を決めて、しっかりとお金を貯めていきましょう。住宅ローンの頭金や教育費などはまとまった金額になるため、5年、10年といった長期的な計画でコツコツと貯めていくことが大切です。

貯蓄を早い時期に始めれば始めるほど、お金が貯まりやすくなります。一気にお金を貯めようとせず、給与天引きなどを利用して、積み立てや長期投資で少しずつ貯めていきましょう。余裕がある場合は、住宅取得費や教育費に加え、老後の資産形成も始めるとよいでしょう。

共働きの場合は、生活費とは別に夫婦共同の貯蓄口座を作ることもおすすめです。お互いに決めた額を貯蓄口座に入金することで「家の貯蓄額」が明確になり、教育費などまとまったお金を貯めやすくなります。

お互いのお金について把握しないままだと「相手が貯蓄していると思っていたのに、実際は貯めていなかった」というような行き違いが起こることがあります。子どもの進学時など、お金が必要なタイミングでトラブルにならないためにも、貯蓄も2人で計画的に行うようにしましょう。

まとめ

年収850万円の世帯は、全世帯で見ると収入が多く、比較的余裕がある世帯と考えることができます。ただし、収入が多い分、支出も多くなりがちなため、支出金額の目安を決めて浪費しないように注意することが大切です。共働きの場合はお互いのお金について把握し、共有口座を作るなどして、2人で生活費の管理や資産形成を行うようにしましょう。