マイホームを新築・増築する際に欠かせないのが土地家屋調査士です。ただ、あまりよく知られている職業ではありません。

この記事では、土地家屋調査士という仕事についてと、土地家屋調査士に依頼するのはどんな時なのかを解説します。マイホームの新築・増築を検討している方はぜひ参考にしてください。

「土地家屋調査士」とは?


ある土地や建物がどういった目的で利用され、どこに存在し、どんな形で、広さはどれくらいかといった、土地の状況を登記するために必要な調査や測量を担うのが、土地家屋調査士です(注1)。

測量・調査を経て、所有者に代わり登記申請を行うことも土地家屋調査士の業務の一つです。不動産の登記申請といえば、司法書士が思い浮かびますが、司法書士は不動産の権利関係についての登記を行うのに対し、土地家屋調査士は不動産の形状や地目の登記を行う点で異なっています。

さらに、土地の測量や登記だけでなく、空き家や所有者不明の土地問題など、土地に関するトラブル解決にまで携わっており、業務を通して「国民の権利の明確化に寄与する」ことを使命とする公共性の高い専門職です。

土地家屋調査士になるためには国家試験に合格し、資格を取得しなくてはいけません。令和2年度の土地家屋調査士試験では、受験者数3,785名に対して合格者数392名で、合格率は10%程度でした(注2)。2020年で70周年を迎えており、歴史のある国家資格といえるでしょう(注3)。

測量士との違い

土地の測量については「測量士」という資格が存在します。では、土地家屋調査士と測量士との違いは何でしょうか。測量士と土地家屋調査士は、どちらも国家資格ですが、可能な業務の範囲に違いがあります。

測量士:管轄は国土交通省。土地の測量および図面の作成ができる。「測量の専門家」である。測量の目的は道路や、橋といった公共の建築物を作るため。

土地家屋調査士:管轄は法務省。登記を前提とした土地の測量ができる。「測量から登記までの専門家」である。測量の目的は、不動産の形状や利用状況の登記のため。

測量士と土地家屋調査士の違いを簡単に一言で表すと、「登記目的の測量か否か」です。公共の建築物を作るため必要な測量のみを、専門的に担当するのが測量士で、測量した土地を登記したり、筆界特定により境界紛争の解決などの業務までを担当するのが土地家屋調査士となります。

土地家屋調査士の仕事内容とは?


登記を目的に測量を行う土地家屋調査士ですが、具体的な仕事内容を確認してみましょう。土地家屋調査士の仕事内容には、大きく分けて以下の3つがあります。

● 土地の測量
● 不動産の表示に関する登記手続き
● 土地の筆界に関する紛争解決

それぞれの仕事内容が、どのような際に必要となるのか、詳しく解説します。


土地の測量

土地家屋調査士の仕事内容の1つめは、土地の測量です。土地の所在位置や地形、面積などを測量し、明確に表記した図面を作成します。たとえば、家を新築・増築する前や隣の土地との境界線が曖昧になっている場合、登記所に保管されている地図の内容と実際の状況を照らし合わせたいときなどに土地家屋調査士に測量を依頼できます。

また、実際に測量してみて、地図に書かれている内容と実際の物理的状況が異なっていた場合、土地家屋調査士であればそのまま地図の修正を依頼することも可能です。

 

権利関係の登記申請手続き

測量した土地の情報を登記する手続きの代行も、土地家屋調査士の仕事の1つです。不動産登記法は、土地の表示に関する登記手続きについて、その所有者が行うことを義務付けています(注3)。

しかし、実際の手続きには複雑な作業も多く、初心者が行うには難しいのが現実です。そこで、測量した土地の登記を私たちに代わって行ってくれるのが土地家屋調査士なのです。


土地の筆界に関する紛争解決

土地家屋調査士の仕事内容の3つめは、土地の筆界に関する紛争の解決です。筆界とは、土地の範囲を区切るために定められる線です。測量や登記申請手続きに加え、土地関係のトラブル解決のお手伝いをするのも土地家屋調査士の仕事の1つです。

 

● 隣の空き地が誰のものかわからない
● どこまでが自分の土地なのかわからない

 

などが原因でトラブルが起きてしまった場合に、土地家屋調査士に相談できます。この土地に関するトラブルの解決を担当できるのは、土地家屋調査士の中でも法務大臣から認定を受けた人のみです。

民間紛争解決手続代理関係業務(ADR業務)を行う能力があると認められた「ADR認定土地家屋調査士」のみが、弁護士と一緒になり紛争の解決に携わることができます。

どんなときに土地家屋調査士に依頼するの?



土地家屋調査士の仕事内容は測量、登記手続き、土地に関するトラブルの解決など多岐にわたりますが、私たちが土地家屋調査士に依頼をするのはどんなときでしょうか。

私たちが土地家屋調査士に依頼をする状況には以下のようなものが挙げられます。

● 家を新築・増築したいとき
● 土地の利用状況(地目)を変更したいとき
● 土地を分割し売却したいとき

それぞれについて、詳しく解説しましょう。


家の新築・増築

新築する際には「建物表題登記」、増築する際には「建物表示変更登記」がそれぞれ必要になります。その際、測量および登記の手続きを行ってくれるのが土地家屋調査士です。

新築で建てた家は登記に記録がありません。そこで、土地家屋調査士に依頼し、測量から登記手続きまでを行ってもらう必要があるのです。また、家を増築した場合も、床面積などが変わるので改めて測量と登記が必要になります。

私たちが土地家屋調査士にお世話になる機会としてもっとも一般的なのが家の新築・増築に関わるときだと言えるでしょう。


土地の利用状況(地目)の変更

土地の地目を変更する際も、土地家屋調査士に依頼し、「土地地目変更登記」を行う必要があります。

地目とは、簡単に言うとその土地がどのように使われているかという利用状況のこと。宅地、公園、牧場、田、山林、学校用地など、全部で23種類あり、全ての土地はいずれかに分類されています。

● 空き地だった場所に家を建てた
● 駐車場だった土地を更地にした

上記のように、登録してある地目と実際の地目が異なる場合は、土地家屋調査士に依頼して地目の変更が必要です。


土地の分割と売却

下記のような場合も土地家屋調査士の出番です。

● 土地を分割したい
● 分割した土地を人に売却したい

例えば、兄弟で土地を相続したような場合、土地を分割する必要が生じます。その際、境界を確定するための測量を行うのも土地家屋調査士の仕事です。

また、土地を売却する際にも正確な面積を算出するために、土地家屋調査士による調査、測量および境界の確認が必要です。

まとめ


土地の測量に加え、面倒な登記手続きや土地関係のトラブル解決にまで携わってくれるのが土地家屋調査士です。新築・増築の際だけでなく、万が一土地に関わるトラブルなどに巻き込まれた際も相談できる頼りになる専門家として存在を覚えておくと良いでしょう。

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参考(出典):
注1 土地家屋調査士倫理規程
注2 令和2年度土地家屋調査士試験の最終結果について|法務省
注3 土地家屋調査士について|日本土地家屋調査士会連合会