電気料金が4月分から値上げになりました。今年度の値上げ幅は、経済産業省によると、標準的な家庭(1ヶ月260kWh使用)で年間1,188円です。それほど大きな値上げではありませんが、コロナ禍で収入減の家庭もあるだけに、何とか電気代を抑えたいと考える人は少なくないでしょう。日々のこまめな節電以外に方法はないのでしょうか。そもそも、電気料金はなぜ上がるのでしょうか。

まず、電気代は主に基本料金と使用料から構成されています。使用料は使った電気量×単価です。基本料金は近年、あまり変化がありませんが、電気の単価は東日本大震災以降、値上がり傾向にあります。

出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2020」

日本の電源構成では、化石燃料を使う火力発電が約7割を占めており、石油やLNG(液化天然ガス)は、中東情勢や日々変動する原油価格に左右され、不安定な変動を続けているためです。

再エネ賦課金と固定価格買い取り制度の関係

今回、電気料金が値上げになるのは、基本料金や電気単価とは別に、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が引き上げられるためです。2.98円/kWhから3.36円/kWhになります。これは、再生可能エネルギーの普及・拡大を目的としたものです。

再エネ賦課金は、2012年7月からスタートした固定価格買い取り制度と同時に導入されました。この制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)をエネルギー源とする発電所で作った電気を、旧大手電力会社(東京電力や関西電力など)が決められた価格、決められた期間で買い取らなければいけない、という制度です。

この制度で電気の買い取りに使われたお金は、再エネ賦課金として、各世帯の毎月の電気料金に上乗せされ、国民全員で負担しています。

電力・ガス比較サイトエネチェンジを運営するENECHANGE株式会社の広報、中田都季子さんは次のように説明します。

「再エネ賦課金では、全国一律に1kWh当たりの価格が毎年国によって設定され、その単価を電気使用量(使用電力量)に掛けた額が毎月の電気代の請求額に含まれます。電気代を減らすために消費者ができることはまず、電気使用量を減らす努力、つまり節電です。省エネ家電に買い替えるのも一つです」(中田さん)

電力会社を切り替えるだけで電気代10%オフも可能

契約する電力会社(小売電気事業者)を切り替えることをスイッチングと呼びます。簡単に言えば、電気の購入先を変えることです。

2016年4月からスタートした電気の小売全面自由化により、消費者は電気の供給者を自由に選択できるようになりました。このスイッチングにより、電気代を減らすことができます。

電力自由化以降、各電力会社は、さまざまな電気料金プランを打ち出しており、自分に合ったプランを選べば電気代が安くなるというわけです。自由化以降に設立された電力会社を新電力と呼びますが、新電力は特に料金プランが多種多様です。

「スイッチングで減らせる節約額は、約10%と言われています。年間の電気代のうち、1ヶ月分ぐらいが減らせる目安と考えられます。再エネ賦課金は電気料金を支払っている世帯すべてに一律に課される料金ですが、標準世帯だと電力会社を切り替えるだけで、再エネ賦課金で増えそうな分を相殺することができます。どういう電力会社を選ぶかというのも、今回の再エネ賦課金が上がるタイミングで考えてみてはいかがでしょうか」(中田さん)

具体的に、どこの電力会社の電気料金プランが得なのか、中田さんに見積もってもらいました。ただ、新電力の場合は、「ガス+電気」や「電話+電気」のように、他の料金と合算して安くなるメニューが多いので、電気代単独でどこが安いのかわかるようにしてもらいました。

電力・ガス比較サイト「エネチェンジ」試算結果

≪試算条件≫
・年間電気使用量…3,120kWh
※再エネ賦課金1万円超えの試算に使われている標準世帯(260kWh/月×12カ月)で試算

・年間電気代…86,342円≒月平均7,195円
※東京電力での契約を想定。
・契約アンペア…40A
・契約エリア…東京電力管内
・家族構成…夫婦、子1人の3人家族

スイッチングはとても簡単。新しい契約先に連絡するだけ

電力会社を切り替えるのはとても簡単です。現在契約している電力会社への解約手続きは必要ありません。新しく契約する電力会社に申し込むだけです。

ほとんどの電力会社がオンラインでの申し込みが可能ですし、電話での申し込みも可能です。
切り替えに当たっては下記4つの情報を新しい電力会社に伝えます。

・現在契約している電力会社名
・現在契約してい電力会社の顧客番号
・供給地点特定番号:電気を使用する場所を特定するための番号で、全国一律で数字22桁
・切り替え希望日

3つ目の供給地点特定番号は、電力会社から毎月届く検針票や明細書・請求書、または、電力会社のホームページにある「マイページ(ご自分のアカウント)」でも確認することができます。電話で直接問い合わせても教えてもらえます。

なお、基本的にはマンションに住んでいても、自由に電力会社を切り替えることができます。

「工事が必要なメーターは大家さんのものではありませんので、賃貸マンションでも大丈夫です。ただ、個人で切り替えられないパターンとしては、マンション自体が建物全体として、電力会社と一括契約をしているところ。電気代が家賃に乗っかって請求されるような方は難しいです。マンションだからダメだろうと最初から諦めるのではなく、まず請求書がどこから発行されているのかを確認してください。電力会社から来ていれば切り替えられます。ほとんどの方は切り替えられると考えて大丈夫です」(中田さん)

電力会社を切り替えることは、電気小売り会社を変えることなので、毎月の電気代の支払先が変わります。

しかし、電気の小売り会社を変えても、発電・送電・配電などのインフラは今まで通りですし、電気の供給が不安定になることもありません。電線も今まで使用したものと同じ電線を通って電気が送られてきます。

契約アンペア数の見直しでも電気代を減らせる

電気の契約アンペア数を小さくすると基本料金を下げることができるので、電気代の節約につながります。契約アンペア数を変更したい場合は、契約している電力会社へ連絡をして、アンペア数変更の申し込みを行います。

「アンペア(A)」は、電流量(電気が流れる大きさ)を表す単位です。契約アンペア数は、一般の家庭用では60Aまであり、数字が大きくなるほど一度に使える電気の量が増えます。

実は、現在契約中のアンペア数がどのくらいか把握している人は多くないかもしれません。でも、毎月の電気料金を安く抑えるには、契約アンペア数選びは重要です。

「たとえば、1人暮らしの方で電気をあまり使わなければ、20Aや多くても30Aの契約で十分ですが、ファミリー世帯では、マンションだと30〜40A辺りが一般的です。戸建てになると部屋数が増えたりすることもあるので、その上の50Aとかで契約されているところも多いと思います。アンペア数を下げることで、基本料金を節約することはできるのですが、今まで同時に使っていた家電が、ブレーカーが落ちて使えなくなったりすると困るので注意が必要です。時間帯ごとに各家電のアンペア数を足してマックスのアンペア数を算出し、それをかなり超えるようなアンペア数で契約していたら下げてみるのもいいと思います。また、子どもが独立して世帯人数が減るなど、家族構成が変われば使用する家電の数も減ります。人の移動が多い春は見直しの良い機会かもしれません」(中田さん)

電気代は今後も毎年上がる可能性あり!?

再エネ賦課金の単価は、制度が導入されてからずっと上がり続けています。2012年度に1kWh当たり0.22円だったものが、20年度は2.98円になっています。

出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2020」

政府は2050年の脱炭素社会を目指し、再エネの導入をさらに進めていく方針です。再エネ賦課金は今後も値上がりすることが予想され、それに伴って電気代も上がる可能性が高いでしょう。

再エネ賦課金自体はどの電力会社の料金プランを使っても変わりませんが、基本料金と電力量料金を自ら選び、最適なプランを使うことで電気代を安くすることが可能です。電力会社のプランをときどきチェックするとよいでしょう。

<取材協力>
エネチェンジ(ENECHANGE株式会社)