4月の衆院東京15区補選での政治団体「つばさの党」による選挙妨害事件で、逮捕された3人が補選期間中に妨害行為などの動画を配信する際、視聴者に寄付を募って受け取っていたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は動画を通じて収益を上げる狙いだったとみて調べる。

 5月17日に公職選挙法違反(選挙の自由妨害)容疑で逮捕されたのは、つばさの党の幹事長で同補選に立候補し落選した根本良輔(29)、代表の黒川敦彦(45)、幹部の杉田勇人(39)の3容疑者。3人は告示日以降、ユーチューブに「チャンネルつばさ・黒川あつひこ」名で、他陣営の街頭演説を妨害したり、選挙カーを追跡したりする動画を配信していた。25万人超のチャンネル登録者がおり、補選の12日間で約40本の動画を生配信し、計250万回以上再生された。再生回数に応じて収入が得られる。

■都知事選での妨害を示唆 寄付に「ぜひご協力を」

 捜査関係者によると、黒川容疑者らは妨害行為の狙いを説明する動画などで、視聴者が配信者に送金できる機能「スーパーチャット」(スパチャ)で寄付を受け取っていた。スパチャは視聴者が100円〜5万円の範囲内で自由に送金し、自身のコメントを目立たせることができる。寄付した視聴者の名前を挙げ、「スパチャ、ありがとうございます」などと応じていた。

 補選投開票前日の4月27日の配信では、黒川容疑者らが「活動を広げろと思っていただける方は、ぜひご協力していただきたい」と追加の寄付を呼びかけていた。使用目的については、立候補を表明した6月20日告示の都知事選で「小池百合子を凸(トツ)し、街宣車を一台でも多く出す」と主張した。