鳥取県内の空き家の数が昨年10月時点で4万1300戸に上り、初めて4万戸台に達したことが、総務省が5年ごとに実施している住宅・土地統計調査でわかった。住宅の総数に占める空き家の割合(空き家率)も過去最高の15・8%となり、おおむね6戸のうち1戸は住む人がいない状態だ。

 人口減少や少子高齢化に伴い、空き家は全国的に増え続けている。総務省の調査によると、全国の空き家の数は昨年10月時点で過去最多の900万戸で、空き家率も13・8%で過去最高を更新した。

 空き家が管理されず放置されたままの状態が続くと、倒壊のおそれや衛生上の問題が増し、ごみの不法投棄や放火など治安の悪化につながる懸念もある。2015年に施行された空き家対策特別措置法では、市区町村がこうした空き家を「特定空き家」と認定し、状況が改善されなければ所有者に代わって取り壊すことも可能になった。

 県中山間・地域振興課によると、県内の特定空き家は昨年3月末時点で789件。近年は700〜800件台の状況が続いているという。(富田祥広)

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 鳥取市は20日、同市滝山の特定空き家について、空き家対策特別措置法に基づく行政代執行による解体に着手した。行政代執行による特定空き家の解体は市内で3例目。

 市建築指導課によると、建物はスレート瓦ぶきの木造平屋建てで、延べ床面積は45平方メートル。築60年を超え、屋根や外壁が脱落して飛散して近隣の住宅に被害を及ぼしている。隣接する市道に倒壊するおそれもあり、近隣住民から市に苦情が寄せられていた。

 市は所有者や県外に住む法定相続人2人に対し2012年から、状況を改善するよう指導や勧告、命令する文書を送付。だが改善がみられなかったため、代執行での解体を決めた。市はこれまで、倒壊や飛散を防ぐネットを設置するなど応急対策もしてきたという。

 20日は市の担当者が現地で行政代執行の開始を宣言し、立ち入り禁止の表示を張り出した。家財などを搬出して5月中に解体工事を始める予定。費用約150万円は法定相続人に請求するという。

 市によると、市内の空き家は今年3月末時点で4207件あり、このうち特定空き家は74件。県中山間・地域振興課によると、県内での行政代執行による特定空き家の解体はこれまで、鳥取市の2例のほか、倉吉市と江府町で各1例あるという。(富田祥広)