JR四国は21日、西牧世博社長の後任に、四之宮和幸専務・総合企画本部長(59)が内定したと発表した。四之宮氏は国鉄の分割民営化後にJR四国に入社し、同社初の生え抜き社長となる。

 四之宮氏は高松市の本社で記者会見し、「安全の確保を根幹に、サービス提供型ビジネスを通じて、運命共同体としての四国の未来を創ることに貢献していきたい」と語った。

 懸案となっている赤字ローカル線の問題については、「自治体との協議と平行して、まずは利用者の視点に立って全線区を対象に利便性向上を進めたい」と述べた。また、高松駅ビルの開業や今秋の松山駅の高架化などを踏まえ、「まちづくりについても、鉄道会社として協力できることはしていきたい」と意欲を示した。

 同社の鉄道輸送人員はコロナ禍前の8〜9割にとどまる。そうした厳しい現状を踏まえて「新たな需要を獲得する必要がある」とし、「インバウンドを含め四国外から来てもらうことと、県庁所在地周辺の町づくりによる利用増を図り、コロナ禍前の収入に戻せるよう努力したい」と語った。

 西牧社長は社長としての4年間を振り返り、「コロナ禍を経て黒字にできた。運賃改定もでき、ホテル・不動車事業の再チャレンジを可能にした。残念だったのは、ローカル線の(自治体との)入り口の議論ができなかったことだ」と述べた。。

 四之宮氏は愛媛県出身。京都大大学院を修了後、1989年にJR四国に入社。取締役財務部長、同総務部長などを経て、2022年から現職。6月25日の株主総会後の取締役会で社長に就任する。西牧社長は代表権のある会長に、半井真司会長は相談役に就任する見通し。(福家司)