高知市を中心に路線バスを運行するとさでん交通は21日、10月から県庁前とトーメン団地を結ぶ路線など計24路線の廃止を柱とした大幅な減便計画を公表した。不足する運転手を確保するめどが立たないことが主因としている。

 市が設置した市地域公共交通会議で、同社が説明した。計画が実施されれば、同社の路線バスの年間運行距離は現行の244万キロから207万キロまで15%減るという。

 同社によると、現行は71路線で、年間の運行回数は約7万7600回。今年10月から、近接路線との併合などで15路線を新設し、10月から62路線で運行するという。同社自動車戦略部の伊藤栄部長は「一部で負担をかけることになるが、主要路線を確保し、将来に向けた持続可能な体制を整えたい」と理解を求めた。

 背景にあるのは、運転手不足だとした。同社の運転手は高速・貸し切りバスを含め今年度168人を見込む。うち路線バスは123人で、運行維持のために必要とされる人数が24人不足するという。伊藤部長は「多様な手を打って確保に努めてきたが、50代以上に偏る年齢構成の中で減員分を補いきれない。今年春から乗車間隔を現行の8時間以上から9時間以上とることが求められ、厳しさに拍車がかかった」と説明した。

 同社は昨年10月にも運転手不足などを理由に1日あたり76便削減したが、路線の廃止には踏み込まなかった。2014年の同社の路線バスの年間運行距離は487万キロで、計画の実施により10年で5割以上減ることになる。

 会議では、委員から様々な声があがった。県庁前とトーメン団地を結ぶ路線の廃止については「苦渋の決断だと思うが、高齢者が多いエリア。再考できないか」「同様の団地路線も今後廃止されるのではと心配だ」などの意見が出た。

 同会議の熊谷靖彦会長(高知工科大名誉教授)は「厳しい状況は理解するが、廃止などで困る人が出てくる。減便の実現への進め方や将来的な方向性を示してほしい」と述べ、計画の再検討を促した。(亀岡龍太)