新たな捕鯨母船「関鯨丸」は21日、東北沖で行う初めての漁に向けて母港の下関港(山口県下関市)を離れた。水産庁がナガスクジラを新たな捕獲対象にする方針を示し、関鯨丸への注目が内外から高まっている。

 下関市が主催した初出漁式に、鯨肉加工業者ら大勢の関係者が招かれた。前田晋太郎市長は「この数年、鯨に関係する環境は激変している。下関市民を始め、多くの皆様は鯨文化が非常に盛り上がっていくと感じていると思う」と、地元の期待を述べた。市内の保育園児らが船員への歌を披露し、祝賀ムードを盛り上げた。

 初出漁式に先立って取材に応じた共同船舶の所英樹社長は「関鯨丸がなければ沖合の母船式捕鯨は成り立たない。鯨肉を新鮮なまま製品に出来る素晴らしいシステムを残せた」と胸を張った。

 また、ナガスクジラの漁については「関鯨丸はナガスクジラを捕ることを前提として造った。なるべく多く捕れることを期待している。商業捕鯨を再開し、まさに新たな時代が来たことを象徴する船だ」と述べた。

 式典後、吹奏楽団が演奏する「宇宙戦艦ヤマト」のテーマ曲が流れ、5色のテープが舞う中、関鯨丸は午前10時半過ぎに下関港を離岸した。見送った関係者らは乗組員らに向かって盛んに手を振っていた。関鯨丸は12月中旬に下関港に帰港する予定。(白石昌幸)