性暴力被害を打ち明けた少女と、その母親を支援した女性たちが、かつていた。その活動が元になって30年前、女性団体「女のスペース・にいがた」(新潟市中央区)が生まれた。以来、市内の事務所は、女性への暴力や差別と闘う拠点となっている。

 1992年、当時あった女性団体のメンバーが、少女の母親から相談を受けた。数日前、少女は約2年にわたって母親の交際相手の男から性暴力を受けていたと、母親に打ち明けていた。メンバーから弁護士を紹介された母親は、民間のボランティア団体「東京・強姦(ごうかん)救援センター」にも相談。その後、男を強制わいせつ罪などで新潟県警に告訴し、間もなく男は逮捕された。

 同年末、裁判で事件と向き合うことになった母子を支えるため、「支援する会」ができた。翌年、男に執行猶予付きの有罪判決が下ると、会はいきさつをまとめた報告集を作った。

 この報告集は新聞報道された。問い合わせ先として中心メンバーの里村英子さん(67)の連絡先が掲載されると、夫による暴力や性被害を打ち明ける女性からの手紙や電話が殺到した。相談電話を受けたり、会って話を聞いたりする場所が必要になり、94年5月29日、「女のスペース・にいがた」が、スタッフ約20人でスタートした。同団体によると、これらが設立の経緯だという。

 以来、家庭内暴力(DV)や離婚、職場での問題や心の悩みなど、女性からの様々な相談に無料で応じてきた。2000年にNPO法人化し、DV被害者のシェルターや新生活の準備をする施設「ステップハウス」も増やしてきた。

 現在のスタッフは約30人。最近は、両親やきょうだいから暴力を振るわれている若い女性や、同居している息子から虐待されている高齢の母親からの相談が増えているという。代表理事を務める里村さんは「切羽詰まった内容が多いので、一人で抱え込まないように複数のスタッフで聞いたり、ケースをみんなで共有したりしている」と話す。

 活動はボランティアで、スタッフは自ら会費を出しながら活動しているという。事務局長の佐藤志津さん(68)は「女性は、地域社会や職場で様々な差別を受けている。相談内容は女性みんなの問題だ」とし、こう続けた。「相談者に共感しながら、スタッフみんなで問題を解決していく。そうすることで私たちも、様々な差別に抗していくエネルギーをもらえる。ここは女性たちの心のよりどころであり、闘いの拠点なのです」

 相談電話(025・231・3012)の受付時間は、月曜と金曜が午後7〜9時、火曜は午前10時〜午後1時、木曜は午後2〜5時(いずれも祝日と年末年始を除く)。来所相談は電話で予約が必要(予約電話の受付時間は月〜金曜の午前10時〜午後4時)。SNSやメールでの相談にも応じている。

 今月25日の午後3〜5時には、ジャーナリストの浜田敬子さんを講師に招き、30周年記念講演会が新潟市中央区の万代シルバーホテルで開かれる。参加費500円。詳細は団体のホームページ(https://os-niigata.com)で。(茂木克信)