「日本で一番古い町」。酒々井町が、こんなPRに力を入れている。1889(明治22)年の町村制施行で誕生以降、町のまま名称が変わらず、合併もせず存続しているのは全国でも2町だけ。135周年の記念行事が企画され、来月2日には式典を開く。

 北総台地のほぼ中央に位置する酒々井町は、1889年4月1日、近隣16町村の合併で誕生。町によると、町村制施行から名称を変えず町のまま135周年を迎えたのは、全国でも他に群馬県長野原町だけという。

 面積では、県内市町村で浦安市の次に小さな約19平方キロメートル。人口は誕生時に約3600人だったが、昭和40〜50年代の住宅地開発でベッドタウンとして歩み、今では約2万人が暮らす。2013年に開業したプレミアム・アウトレット(飯積2丁目)には、首都圏各地から買い物客が訪れる。

 「アウトレットの客を呼び込むのが長年の課題」と、町の會田(あいだ)知央(ともお)・文化観光課長は打ち明ける。町内には、千葉氏最後の居城として知られる本佐倉(もとさくら)城跡(本佐倉)、旧石器時代で国内最大級の環状ブロック群で知られる墨古沢(すみふるさわ)遺跡(墨)といった国史跡のほか、創業300年超の老舗酒造・飯沼本家(馬橋)といった観光資源が少なくない。

 そこで目を付けたのが「日本で一番古い町」だ。135周年の今年、玄関口であるJRと京成電鉄の駅に横断幕を掲示。中央公民館といった公共施設には、のぼりをたて、町の魅力をPRしている。

 記念事業としては、今月18日にハーブガーデンまつりを開催。来月8日には本佐倉城跡でクイズラリーなどが準備されている。式典は来月2日に開かれ、酒々井中や東京学館高の部活動発表、「上岩橋の獅子舞」演舞なども予定されている。

 実は、町は130周年の時にも大規模なPRを予定していた。だが、記念式典を年度末の20年2月に計画したため、コロナ禍が直撃。中止を余儀なくされた。今年の準備に追われる町職員は「酒々井はアウトレットだけじゃないと多くの人に知って欲しい」と訴える。

 小坂泰久町長も「酒々井は豊かな自然と水に恵まれた土地。財産を次世代に引き継いでいくことが我々の使命」としている。(小林誠一)