【石川】能登半島地震での金沢市の対応を検証する「課題検証会議」の初会合が20日夕、市役所であった。指定避難所の約4割が開設されなかったり、金沢駅周辺で1千人規模が帰宅困難になったりしたといい、市は今後、地域防災計画の見直しにつなげる考えだ。

 元日の地震で、金沢市内では震度5強を観測。9人が負傷したほか、5850棟(21日時点)の住宅が損壊し、崖崩れや液状化なども発生した。1日夜には約1万人が避難所に身を寄せたという。

 市はこれまでに庁内にワーキンググループを設け、市民や関係団体の意見も踏まえて、避難所のあり方など七つの項目について整理した。

 市によると、震度5弱以上で220ある指定避難所を開設することになっているが、実際に開設できたのは124カ所にとどまった。住んでいる地域の避難所運営にあたることになっていた市職員らが、遠方への帰省や旅行で開設が遅れたケースもあったという。開設前に住民が到着し、避難所となる小学校の窓ガラスを割って中に入る例も確認された。

 また、避難所には住民らが自宅から非常持ち出し袋を持参し、数日しのぐ想定だったというが、実際には持参率が低く、避難所の物資の備蓄の見直しが必要との意見もあったという。

 帰宅困難者をめぐっては、金沢駅周辺に旅行者らが1千人規模で滞留。その一部が駅周辺の公民館といった避難所に向かったことで、住民向けの避難所運営を圧迫したという。

 交通インフラについては、津波警報が発令され、逃げようとする市民の車で渋滞があちこちで発生したほか、市民から道路の亀裂などの多数の情報が寄せられ、状況の把握や情報の選別が難しかったという。

 避難所の開設や閉鎖などの情報をタイムリーに伝える情報発信の難しさなども課題として挙げられた。

 委員は大学教授や地域の代表らが務めている。会議では、駅周辺の避難所の観光客の受け入れ能力についての質問や、ホテルなど民間事業者との連携を求める声が上がったほか、課題だけでなく、うまくいった事例の共有を求める意見などが出た。

 市は今後、年度内に2回の会議を開き、市の地域防災計画の改定案をとりまとめたいという。(久保智祥)