熊本県相良村の瀬戸堤自然生態園で16日、地元住民らが参加し、田植えや生物観察をする催しがあった。河川だけでなく地域全体で災害に備える「緑の流域治水」の取り組みの一環。

 2020年の豪雨で球磨川流域が大きな被害にあったことを受け、21年度から熊本県や県立大、企業などが参画し、取り組みが続いている。

 県立大の一柳英隆学術研究員によると、瀬戸堤自然生態園は、球磨盆地のへりに位置する湿地で、水が市街地へ一気に流入するのを防ぐ役割がある。ここを水田に戻すことで、生物多様性も保全し、治水への関心を高める目的があるという。

 この日は、県立大の学生や、肥後銀行の笠原慶久頭取、MS&ADホールディングスの船曳真一郎・次期社長ら計約40人が2時間ほどかけて、草取りや田植え、生物観察をした。初めて同園での田植えに参加した県立大環境共生学部1年の緒方綾香さん(18)は「湿地での田植えは泥が深くて大変だった。この場所で、生物多様性を保全する活動をしていることを多くの人にも知ってほしい」と話した。(福宮智代)