武田薬品工業の社長を務めた武田国男(たけだ・くにお)さんが8日、老衰のため神戸市の病院で死去した。84歳だった。同社が17日発表した。葬儀は家族で営み、喪主は明らかにしていない。香典は辞退している。

 1940年、創業家の6代目武田長兵衛氏の三男として兵庫県で生まれた。62年に入社し、93年に社長に就いた。

 「家族的でもたれあっていた」として、成果主義の賃金制度を取り入れるなどの改革を断行。世界最大の市場である米国での販売を強化して国際化を進めた。膨大な研究開発費がかかる製薬に専念できるよう事業を整理し、高い収益を上げる経営体質の礎をつくった。日本の製薬会社で初めて1兆円を超える売上高を達成した。