今年9月に千葉県船橋市で開催される「ふなばし市民まつり」について、フィナーレを飾る花火大会を中止する方向で調整が進んでいることが、関係者への取材でわかった。7月初旬に実行委員会が正式決定する見通し。打ち上げ会場を確保できないためで、来年以降どうするかは決まっていない。

 花火大会は例年、船橋港親水公園で開かれていた。しかし、昨年、会場近くの船橋ボートパークに係留していたボート7艇が花火の燃えかすで損傷したことが判明。修理費約1千万円を、主催するふなばし市民まつり実行委員会(委員長・松戸徹船橋市長)が加入する保険で補償していた。

 実行委事務局の市商工振興課は「私財に影響が出るような花火大会をやるべきか」と問題視し、今年初めに同公園での開催を断念。別の場所での開催を模索したが、今月下旬、適地が見つからないとして中止する方針を関係者に示した。

 花火大会はコロナ禍で2020年から中止され、昨秋に4年ぶりに開催されたばかりだった。

 市の担当者によると、花火大会がない間に会場周辺に転入してきた人や、新しく港を利用するようになったボートのオーナーもおり、大会を巡る環境が変化したとみられる。担当者は「これまでも漁船などに燃えかすが落ちることはあったが、『いつものこと』と問題視する人がいなかった。コロナ禍で花火大会をやらないことが当たり前になり、以前の『当たり前』が当たり前じゃなくなったのでは」と話す。(若井琢水)