岡山県警は昨年1年間で人身事故が多かった県内の交差点のワースト5を発表した。岡山市で3地点、倉敷市で1地点、早島町で1地点が入った。最多は岡山市中心部の大雲寺交差点で計10件発生していた。実際にこの交差点付近を運転してみて見えてきたのは――。

 県警交通企画課が県内の交差点を調べたところ、2件以上の人身事故が起きていたのは計44カ所。この44カ所で起きた人身事故は計143件に上った。内訳は追突が59件、右折時が26件、出合い頭の衝突が23件などとなっており、死者は3人、負傷者は約170人だった。

 大雲寺交差点では10件の人身事故で、死者はいなかったが、負傷者は12人に上った。記者が実際に付近を乗用車で運転してみると、事故のリスクを認識することができた。

 交差点を境に、北に向かって国道53号が、南へは国道30号がのびている。付近の通行量は1日約4万3千台。

 10件の事故のうち6件は、この南北に走る国道から、それぞれ右折する際に発生していた。

 現場の国道はいずれも片側2車線だが、交差点付近には右折レーンがあり3車線。記者が国道53号を南進し、交差点で右折を試みた。青信号になり、右折レーンで待っている間、対向車線の右折レーンはすぐに何台もの車で埋まった。その結果、その外側にある直進車線を隠す形になり、直進する車が非常に見えづらくなった。

 正面が赤信号になった後は、右折の矢印信号が出る。ただ、正面が青信号で曲がる場合、路面電車の線路をまたいだ上で、直進してくる車や、横断歩道を渡る歩行者に注意する必要がある。交差点通過時には、こうした危険を予測しながら、前方、左右、後方の安全確認を十分行って走行しなければいけない。

 県警は、複数人身事故があった交差点について、各自治体ごとのワースト結果もホームページ(https://www.pref.okayama.jp/page/detail-77685.html)で公表し、注意を促している。(北村浩貴)

     ◇

 県警によると、昨年の県内の交通事故による死者は49人(前年比25人減)で、1948年以降で2番目に少なかった。一方、人身事故は5161件(同813件増)、負傷者は5816人(同961人増)だった。

 今年は5月末現在で、昨年の同時期を上回る19件の死亡事故が発生し、20人が亡くなった。4、5月の2カ間で見ると、計10人が死亡。昨年より6人増えた。死亡事故19件のうち13件は中央線をはみ出したり、道路外に外れたりする「一方的な過失」が疑われるという。人身事故は1997件で、昨年より100件以上多いペースで推移している。

 こうした中、県警は6月3日、全22署で緊急の一斉啓発活動を展開。自転車のヘルメット着用や夜間の反射材着用を呼びかけるチラシを作成し、商業施設などで配って歩行者側への注意も呼びかけた。(北村浩貴)