滋賀県米原市の伊吹地区で1日に起きた土砂災害で、伊吹山斜面の砂防堰堤(えんてい)が豪雨で押し寄せた土砂で埋まり、あふれた土砂が土石流となって集落に流入したことが、滋賀県の調べでわかった。6月末に現地を調べた際は、容量が確保されていた。堰堤にたまった土砂は千立方メートル以上あり、撤去には約1週間かかる見通しという。

 被災地東側の伊吹山斜面にある勝山谷川第1堰堤(高さ4・7メートル、長さ20・67メートル)。1978年に完成した。県は土砂災害防止のため昨年8月と今年2月、6月中旬、たまった土砂を撤去し、200〜300立方メートルのスペースをつくった。6月末に現場を確認した際は、スペースは確保されていたという。

 県によると、被災した伊吹地区に隣接する上野地区では、1日午前9〜10時の1時間に34ミリの非常に強い雨が降った。

 伊吹山では昨年7月の豪雨で、5合目から山頂にかけての登山道付近で土砂崩れが発生。この一帯から、今回の豪雨で土石流が発生した谷筋に水路が延びており、市は大量の水が谷筋に流入したとみている。

 この谷筋には勝山谷川第1堰堤以外に砂防堰堤がなく、市によると、2、3年前にも堰堤から少量の土砂が道路に流出したことがあった。一帯は土砂災害警戒区域に指定されている。市は堰堤の約100メートル上の谷筋に、新たな堰堤を増設するように数年前から県に要望していた。県は2019年度から測量を始めたが、完成時期は未定という。

 平尾道雄市長は「勝山谷川第1堰堤の土砂を早急に撤去するとともに、被災者の方々に安心してもらえるように、新たな砂防堰堤の早期着工を県に強く要望していきたい」と話す。4日に県庁を訪れ、知事に緊急要望書を手渡す。(平岡和幸)