自動車部品の大量生産に必要な金型を下請け業者に無償で保管させるなどの下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請など)が確認されたとして、公正取引委員会は5日、トヨタ自動車の子会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」(横浜市)に再発防止を勧告した。同社は、不当に負担させた費用の相当額を下請け業者に支払う方針だという。

 公取委によると、同社は遅くとも2022年7月から、新たな発注の見込みが無いのに、過去に使った同社所有の金型や検査器具など664点を49の下請け業者に費用負担せぬまま保管させていた。また、65の下請け業者から部品の納品時に行うべき検査をしていなかったのに、後から「傷がある」などとして返品し、計約5400万円を負担させた。

 同社はすでに不当な返品による負担分を下請けに支払い済みで、金型の無償保管に絡む負担の相当額もこれから支払う方針という。

 製造業では、製品の生産後も金型を修理などに使うため保管場所の確保や点検が必要で、無償で下請けに担わせる商慣習が以前から問題視されていた。公取委は監視を強めており、昨春以降、同法違反で今回を含め5件の勧告を出している。今年3月にはモーター製造販売大手「ニデック」の子会社に勧告していた。(増山祐史)