7日投開票の東京都知事選は、選挙戦最終盤を迎え、各候補が活動をさらに活発にさせている。支援団体の総決起大会に出席したり、1日10カ所ほどで演説を繰り返したり。部屋着姿で質問に答えるライブ動画配信も始まった。支持拡大へラストスパートをかける現場を追った。

 「電話をかけてください。ご支援をよろしくお願いします」。2日午後、新宿区内のホテルであった「総決起大会」。非公開だったが、複数の出席者によると、集まった約250の各種団体の関係者らを前に、現職の小池百合子氏(71)は更なる支援を訴えたという。

 選挙戦序盤は公務に専念していたが、終盤に入ると、連日、公務後の夕方に各地で街頭演説を行うように。スタートアップ企業への支援など追加公約も発表した。6月30日には、江東区内の運河で船に乗った「船上遊説」も実施。対立候補の陣営から「会えない知事」と揶揄(やゆ)されたことを意識し、小池氏の陣営幹部は「東京の隅々まで会いに行く知事」と強調する。

 前立憲民主党参院議員の蓮舫氏(56)は、繁華街を中心に毎日、街頭演説を行う。応援弁士としてマイクを握るのは、野田佳彦元首相ら古巣・立憲のベテラン議員や、支援を受ける共産党や社民党の国会議員ら。さらに、中盤以降、力をいれているのがSNSだ。

 YouTubeでの演説のライブ配信のほか、インスタグラムなどで自身や政策を紹介するショート動画の投稿を増やした。部屋着姿で視聴者からの質問に答えるライブ配信も。

 若者の経済支援を公約に掲げているが、街頭演説の聴衆は中高年層が目立つ。そのため、SNSで若年層への浸透を図る狙いがある。

 前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)は、毎日、約10カ所での街頭演説を行う。駅前を埋めるほどの聴衆が集まることもあり、「まさにリアルの力」と手応えを語る。

 動画チャンネルの撮影者らが演説を追いかけ、配信を続けている。YouTubeで「石丸伸二」と検索すると、1日50本以上の動画がアップされ、総視聴回数は350万回を超える。

 石丸氏は追加公約を発表した他候補について、「期日前投票を済ませた人もいる。不誠実だ」と批判する。また、3日の竹ノ塚駅前(足立区)での演説では、都議会の審議の様子を伝える動画への注目度が低いと問題視し、「政治の見える化を行う。利権政治やばらまき事業を廃止する」などと訴えた。