三重県伊賀市に、伊賀地域では初めてのフリースクールができた。運営者は「学校に戻る、戻らないに関係なく、心を塞いでいる子どもが自分を見つめ直し、次のステップへ進むのに使ってほしい」と呼びかけている。

 同市朝日ケ丘町の住宅街にある「レインボーキッズ」。同市の書家の服部朋弘さん(34)と同市の川上陽子さん(44)が4月に立ち上げた。服部さんは2年前から「虹のかけはしプロジェクト」として、マルシェや子ども食堂などの活動を展開。お菓子の出店をしていた川上さんと知り合いになった。

 川上さんの小学6年の次女(12)は、コロナ禍で休校になった4年前、不登校に。いじめなど特に理由があるわけではなく、川上さんは当初、悩みながらも叱ったが、その後「嫌な思いをするより、行きたくなければ行かなくてもいいよ」と話すと安心した顔になったという。

 フリースクールは県内に18カ所あるが、伊賀地域にはなかった。川上さんから相談を受けていた服部さんの発案で、2人で県内のフリースクールを見学するなどし、立ち上げた。

 文部科学省によると、不登校の小中学生は2022年度、全国で約30万人にのぼり過去最多。県内では3958人で、伊賀市は139人、名張市は170人。コロナ禍後に増加傾向にある。

 川上さんは「フリースクールに通うと、学校に戻らなくなるのではと不安に思う保護者もいる。しかし、少人数でいる方が自分のことが認識できるし、ここで体を慣らしてもらうのもいいのでは」、代表の服部さんは「子どもの自主性を培い、大人になっても戻ってこられる場所をめざしたい」という。

 自主学習や読書、遊び、理科実験のほか、遠足や野外学習も予定する。スタッフは3人だが、元教員らから手伝いの申し出も寄せられているという。

 伊賀鉄道伊賀神戸駅から徒歩10分。居住地域は問わず、小学生から高校生まで対象。保護者の相談にも応じる。利用は平日の午前9時〜午後6時。入学金5万円、利用料は利用日数に応じて月1万〜2万5千円。問い合わせは服部さん(070・9145・0723)かインスタグラムのアカウント(@rainbow_kids2404)。(小西孝司)