強豪撃破のカーリング男子 東大式ライブ解説で試合詳報

強豪撃破のカーリング男子 東大式ライブ解説で試合詳報

 東大カーリングサークルが母体の「チーム東京」のメンバーが14日、平昌五輪カーリング男子・日本対ノルウェーをリアルタイム解説しました。名付けて「東大式 すべらないカーリング観戦術」。神田順平(33)、岩永直樹(33)、橋本祥太朗(30)の3人が勝負のあやや男子代表のSC軽井沢クラブ・両角友佑選手のエピソードなどを紹介しました。

■優勝候補を撃破。「この勝ちは大きい!」

 長野五輪以来の20年ぶりの大舞台で、日本男子はノルウェーに快勝。「感慨深いですね」「試合序盤から日本は冷静だった。いつも通りの、強いときのSC軽井沢クを出せた」

 攻守のバランスの良さと堅実な作戦が持ち味のノルウェーに対し、日本のスキップ両角友の攻撃的なショットは、試合を通じて安定していた。そして「スキップのショットを生かす、仲間のラインコールやスイープも良かった。チームの勝利ですね」。

 優勝候補のノルウェーに勝てたのは大きい。「ノルウェーに勝てない限りは、(1次リーグを突破して準決勝に進める)ベスト4には入れないと思っていた」「この勝ちで、4強入りの可能性をかなり示してくれた」「この後の伸びしろ次第では、メダルも有り得る」。「伸びしろ」とは、試合ごとに変化する氷の状態を速く読む対応力、そして夢にまで見た舞台での高揚感がチームの力を押し上げることにも期待している。

 超えるべきライバルでもあるSC軽井沢クの五輪での雄姿を見たチーム東京の3人。「日本を代表して、こんないい試合を五輪でやってくれてうれしい」。一方で、「僕らも早くまたカーリングがしたい。この週末も軽井沢に行って練習だ」。いい刺激をもらったようだ。

《第10エンド》

 日本は、相手に2点を取られなければ勝ちが決まる。

 スキップ両角友の1投目。ノルウェーの石がハウス内に二つあったが、両角友は相手のナンバー1(ハウスから一番近い石)だけをはじき出して、逆に日本がナンバー1、2を取る。「昔のモロなら、無理に二つぶちかましにいっている。でもこの場面では冷静だった。攻撃的ながらも、円熟味は増している」

 直後のウルスラードの1投目でまさかの出来事が。石が氷上のゴミの上を通過して、コースが変わった。スイーパーは途中から掃くことさえ諦めた。「ゴミがかんだ。ノルウェーは運が悪かった」「あるいはノルウェーは持ち時間が少なくなっていて、ウルスラードが投げる前に石の裏面をしっかりと拭き取ることを怠った可能性もある」

 日本は最後は運にも助けられ、開幕戦をものにした。

《第9エンド》

 このエンド先攻の日本はスキップ両角友の1投目がうまく決まり、ナンバー1、2(ハウスから一番近い石と二番目に近い石)を確保。ラストショットを控えるノルウェーのスキップ、ウルスラードに重圧をかけた。

 ウルスラードはナンバー1をつくれず、日本は圧倒的に有利に。「ここで2点取れれば、日本はほぼ勝ちが決まります」

 だが両角友のショットはわずかに乱れて1点どまり。日本6―4ノルウェー。「日本は息の根を止め損ねましたね。野球で言えばノーアウト満塁で1点どまり、みたいなもの。引き続き、有利ではありますけど」。最終エンドへ。

《第8エンド》

 前のエンドで2点をリードした日本はセオリーで言えば、リスクを冒さずに進めたいところ。後攻のノルウェーに1点だけを取らせ、第9エンドで有利な後攻を取りたい。

 エンド終盤、ハウスに多くの石がたまる難しい展開に。スキップ両角友はラストショットで「ダブルテイクアウト」を選択した。みごとに成功。

 「超強気な攻めですね」。より慎重な選択肢としては相手の石に当てて、自分はハウス内に残る「ヒット&ロール」も有り得たが、リスクを冒し、一気に二つはじき出す強気な作戦を選んだ。「しかも終盤に来て、モロ(両角友)さんはいいショットを決めきっている。バランスが持ち味のノルウェーを、モロさんの強気なショットがここまではねじ伏せている」。予定通りに1点だけ取らせ、日本5―4ノルウェー。

《第7エンド》

 第6エンドでスチールを許した日本は後攻。得点は3―3。「この先は、スキップの両角友君が決めれば試合が決まるという局面が何度か来る。そこを決められるか」。

 日本はこのエンドをブランクエンド(両チームとも無得点)にして第8、第10エンドに有利な後攻を持つという選択肢もあるが、「たぶん超攻撃的な両角友君はそれは選ばない」。一方のノルウェーは「勝負を先延ばしにしようとしている」。第7エンドをシンプルに進め、「勝負どころの回数を少なくしようという試合運びですね」。

 終盤にさしかかり、両チームの思惑が交錯する。駆け引きが続く。

 スキップ両角友の1投目は、速いウェートでノルウェーの石をニつはじき出すダブルテイクアウト。「ナイスショットですね。勝負どころでの最高のショット。強気な両角友君の持ち味が出た」。そしてノルウェーのスキップ、ウルスラードの1投目も速いウェート。だがこちらは日本の石を一つしか出せず。「モロさん(両角友)が勝ちましたね。モロが流れをつかみ返した」。日本はこの試合初めて2点を取って、突き放しにかかる。

■バナナやチョコで頭をリフレッシュ

 第5エンドが終わると、5分間のハーフタイム。多くのチームがバナナやチョコレートなど甘い物を摂取する。「スイーパーは掃くことでかなり体力を消耗する」「スキップは頭をフル回転させているので、糖分の補給が必要」。試合中はずっとスタンドで見ているコーチからの助言を聞ける貴重な5分間でもある。

《第3、4エンド》

 不利な先攻だった日本が2エンド連続で1点をスチール。「日本は総じて、シンプルなショットを落ち着いて決めている」「ノルウェーはスチールはされているけどしのいでいる」。

 10エンドで試合が決まる4人制のカーリングは、「試合の潮目は2回は変わると言われている」。このあと1回はノルウェーに試合の流れは行くと、チーム東京の3人は予想する。「そこで日本はいかに傷口を最低限に抑えるか」。日本が優勢で中盤戦へ。

■「カーリング界の福山雅治」がはくピンクパンツ

 ノルウェーのパンツはピンク色でしかもハートマークがちりばめられている。「バレンタインデーに合わせて、ハートマークにしてきたんじゃないかなあ」。スキップは46歳のウルスラード。「中年なのにピンクのパンツをさりげなく、しかもかっこよくはきこなす。さすが『カーリング界の福山雅治』」。

 普段からノルウェーチームはスタイリッシュだそうで、「このオリンピックは恐らく、全試合で違う色のパンツをはいてくると思います」とチーム東京の3人は予想する。

 ちなみにノルウェーのパンツは、米国のゴルフ用品メーカー、ラウドマウス社製で派手な柄が特徴。「目立ちたい」がモットーのチーム東京も、このラウドマウス社製のパンツを米国から直輸入し、はいている。「ノルウェーチームからはインスパイアを受けていて、思い入れもあります」

《第2エンド》

 先攻のノルウェーのスキップ、46歳のウルスラードの最終投は、日本の石二つを出す「ダブルテイクアウト」に成功。後攻の日本のスキップ両角友は、ハウス中心に置いて1点を取りにいくドローショットを狙う。

 「狭いところを通す必要があり、難しいショットだった。スイーパー2人がしっかりと石のウェート(速さ)を判断して、ハウスで待つサードの清水に伝えた。清水はそのコールを聞いて、石の軌道と速さを判断して、『イエス』(もっと掃け)と叫んだ」。ガードストーンをすり抜け、ハウスの中心に。「まさに全員で決めたチームショットです」。1点を取るしかない場面で日本はきっちりと1点を取り、まずは互角の立ち上がり。

■清水宏保さんのライブ中継スタジオ訪問

 チーム東京の3人がいる隣の部屋では、スピードスケートの長野五輪金メダリスト清水宏保さんが女子1000メートルをスタジオ生解説。3人はスタジオに潜入し、「カーリングもよろしくお願いします」と金メダリストにあいさつ。カーリングを体験したこともあるという清水さんは3人から「どの石を使うかで違いはあるの?」「氷の状態って、毎試合違うの?」などと熱心に質問していました。金メダリストとの共演に3人は、「すごくフランクで、おかげで緊張しなかった。でも話に重みがありました」

《第1エンド》

 リード両角公の注目の第1投。ハウス手前にガードストーンをきっちり置いた。「公佑、100点。よくやった」とチーム東京の3人は絶賛した。日本は最初から攻めに行く。

 ノルウェーのセカンドは、無難に日本のガードストーンをはじきにいった。「ノルウェーが日本の『超攻撃的』展開に付き合わない選択をしたということ。まずは日本が石をため、ノルウェーがそれを外すという展開になりそう」

 サード清水徹郎の髪形は「オリンピック仕様」。いつもは中心にツンツン立たせる感じが、今夜はサイドに流している。「おしゃれ。気持ちが入っている」

 スキップ両角友の第1投はハウスの中に入ってしまい、やや長すぎた。「本当はハウス手前に置いてガードしたかったけど、まだ氷が読み切れていない。ちょっと『やっちゃった』ショットですね」

 後攻のノルウェーが1点。「不利な先攻は、相手に1点だけ取らせ、次のエンドでは有利な後攻を取るのがセオリーだから、日本はいい立ち上がりです」

■さあ日本男子の初戦

 カーリング日本男子代表・SC軽井沢クラブの平昌五輪での1次リーグ初戦。「あの『敦賀の涙』以来、オリンピックで20年ぶりのショット。リードの両角公佑の第1投に注目したいですね」。チーム東京の岩永直樹、橋本祥太朗はワクワク感を口にした。

 1998年長野五輪に出た日本男子は、数センチ差で米国に逆転負け。タイブレークでの敗退が決まり、スキップ敦賀信人が流した涙は「敦賀の涙」として語り継がれている。

 あの試合を軽井沢の会場で見ていたスキップの両角友佑、リードの両角公佑兄弟はSC軽井沢クの中心選手だ。

 「公佑は第1投でスルーしたりショートしたり『やらかしがち』で、兄貴の友佑がいきなり機嫌が悪くなったりすることもあるけど、五輪ではきっと大丈夫でしょう」とチーム東京のスキップ神田順平は話した。

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