ミスターバスケットボールの父へ 野球続けてよかったよ

ミスターバスケットボールの父へ 野球続けてよかったよ

(6日、高校野球 高知商14―12山梨学院)

■山梨学院・佐古一馬

 甲子園の土を集めながら考えた。けんちゃんにも、見せてあげよう。

 父はバスケットボールのスターで日本代表だった佐古賢一。「ミスターバスケットボール」と呼ばれていた。僕は「お父さん」ではなく、「けんちゃん」と呼んでいる。家にはバスケのゴールがあって、シュートのコツ「左手は添えるだけ」は、漫画じゃなくて、けんちゃんから教わった。「シュートだけなら小さい頃の俺よりうまいな」と言ってくれた。

 けんちゃんに仕込まれたおかげで、結構バスケもうまかった。いつか、僕もバスケ選手になるんだろうなと思っていた。小学3年で始めた野球は、気分転換のつもりだった。中学時代は何度もバスケ部から勧誘された。迷いながら結局、野球を選んできた。

 苦労の連続だった。投手で入学したけど、体のあちこちを痛めて野手に転向。2年生で三塁手になって、コーチにつきっきりでノックしてもらったのに、試合でエラー。バスケの方が向いているかなと思った。

 でも、けんちゃんには言えなかった。中学で硬式野球を始めた時、「始めたら絶対やめさせないからな」と言われたから。最後までやり抜かなきゃだめだって言い聞かせて、やめたくなる気持ちを振り払った。

 この夏を前に、レギュラーから外れそうになって、泣きながら電話した。「周りに支えてもらっているんだから、練習するしかないぞ」と、けんちゃんは背中を押してくれた。

 甲子園はすごく楽しかった。6点差をつけられても諦めない仲間を見て、僕も頑張れた。五回にはエンドランを決めて、七回は全力疾走で生還した。やっぱり野球っておもしろい。

 けんちゃんは仕事で来られなかったけど、LINEで「楽しめよ」と励ましてくれた。スタンプ1個しか返さなくてごめん。帰ったら話すね。「一緒に野球ができなくなるのが寂しくてたまらない」。そんな風に思える友達ができたことを。野球を続けてよかったって、最後に思えたことを。(高岡佐也子)


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