(28日、プロ野球 読売ジャイアンツ6―2横浜DeNAベイスターズ)

 読売ジャイアンツ(巨人)の丸佳浩は、不調だった。出場した直近7試合連続で無安打。しかし、三回の第2打席で右前安打を放ち、28打席ぶりにスコアボードに「H」をともす。「ヒットが出て、つきものが取れた」

 すると、六回2死二塁では内角の変化球に、くるりと体を回転。バットを難なく合わせると、打球は右中間フェンスを直撃する決勝の適時二塁打となった。今季初めて1番で起用された35歳は「スイングに乗った」と控えめに喜んだ。

 5年前に広島東洋カープから巨人に移籍して以降、昨季は打率2割4分4厘、18本塁打、47打点と、打撃成績が最も低迷した。出直しを期す今季は、2年目の萩尾匡也や新人の佐々木俊輔(日立製作所)ら若手が頭角を現すなか、激しい定位置争いを勝ち抜いた。

 奮起の理由は、もう一つある。今季から指揮を執る阿部慎之助監督の存在だ。

 ソフトボールをしていた小学生のとき、ポジションは捕手。背番号は、阿部監督の現役時代と同じ10番をつけていた。だからこそ、誓う。「子どもの頃に憧れていた人を胴上げしたい」

 チーム打率は2割3分1厘とリーグで最も低い。そのなかでベテランに復調の兆しが見えた。「苦しかったけど、いいきっかけにできたら」と力を込めた。(堤之剛)

■選手と監督のコメント

 堀田(巨) 五回1死満塁で救援し、抑えて2年ぶりの勝利。「うれしい気持ちはあるが、切り替えてまた準備したい」

 阿部監督(巨) 打順の組み替えが奏功し、計12安打。「いい形で追加点が取れていったのでよかった」