(第106回全国高校野球選手権愛知大会1回戦 渥美農8―0守山)

 何度もピンチはあった。それでも14人は笑顔を絶やさず戦った。守山は5年ぶりに単独チームで参加した。「人から応援してもらえるチームに」。指導者の願いにプレーで応えた。

 8失点で迎えた五回2死一塁、相手の4番打者の打球はセンターへ高く上がった。加藤颯太選手(1年)が捕球し、失点を防ぐと、ショートを守る唯一の3年、寺島勘世(かんせい)選手が笑顔で迎えた。

 寺島選手は1年の頃、梶田基紘監督から請われて部員不足の野球部に兼部で入った。守山は昨年、一昨年と愛知大会は不参加だった。

 梶田監督には葛藤もあった。「もっと練習したら上手くなるけど辞められたら部が終わる」。バドミントン部の主将でもある寺島選手。自分のタイミングで野球の練習をしていた。

 今年は主将含め1、2年生13人がそろった。寺島選手は5月から練習量を増やし、後輩や野球と向き合ってきた。その分、試合に敗れて口をついたのは「悔いしかない」という思い。だが、梶田監督の思いは少し違う。

 「寺島が部をつないでくれた」と感謝した。

 寺島選手はバドミントン部員として、8月の大会に向けて再び挑む。(渡辺杏果)