中国を訪問中のブリンケン米国務長官は25日、上海市で同市トップの陳吉寧・市共産党委書記と会談した。ブリンケン氏は、党最高指導部への登竜門とされるポストの陳氏に対し、中国による国有企業への優遇などに懸念を表明した。一方で、米中の経済分野での協力に前向きな姿勢も強調した。

 ブリンケン氏は24日には上海でバスケットボールの試合を観戦するなど、友好ムードを演出した。26日には、北京で王毅(ワンイー)政治局員兼外相らと会談し、中国によるロシアへの支援や台湾問題をめぐり、中国側を牽制(けんせい)する見通し。先立って経済の中心都市である上海を訪れることで、経済をめぐる問題や米中の経済協力を重視する姿勢を示した。昨年6月にブリンケン氏が訪中した際には、米本土に中国の気球が飛来し、米軍が撃墜した問題などを受けて米中関係は「過去最悪」(米国務省高官)水準にあり、北京のみに滞在していた。

 香港メディアによると、陳氏は会談の中で上海に約5830社の米国企業があることに触れ、「地方政府として中米関係の発展に積極的に貢献したい」と述べた。米国務省によるとブリンケン氏は、国内産業への過剰な補助金や国有企業の優遇などの問題を念頭に、中国の貿易政策や経済慣行への懸念を表明。米国企業にも公平な競争条件が必要だと訴えた。その一方で、上海訪問について「米中の経済関係のさらなる可能性を示している」とも述べ、米中間の人的交流や経済関係を深めたい考えを示した。ブリンケン氏はこの日、上海に進出する米企業の幹部とも面会した。