■黄綬褒章 斉藤菊雄さん

 【山形】1993年、大冷害が東北を襲った。やませの影響を受けやすい最上町の稲作は壊滅的な被害を受けた。「農家がコメを買わなければいけないほどだった」と振り返る。

 2003年も冷害に見舞われた。稲作頼みへの危機感が広がる中、夏の冷涼な気候に向くアスパラガスを県や町から勧められた。04年度に約40戸で栽培を始め、町アスパラガス生産協議会の会長に就いた。

 高い品質を保つため、栽培方法の統一を目指す。「農家は独立心が強いが、ブランド化のために同じやり方でやろうと農協と一緒に呼びかけた」と話す。

 やがて、生産者が班ごとに分かれて勉強会を開き、畑を互いに訪れては、よりよい栽培方法を話し合うようになった。

 産地化から20年。もがみ中央農協によると、生産者は150人以上に増え、年間販売額は約6億円に達する。受章について「会員一人一人の活動のたまもの。熱心に指導してくれた県や町、農協に感謝したい」。(高橋昌宏)