今年秋に予定される栃木県知事選をめぐり、現職の福田富一知事(70)の去就に注目が集まっている。知事自身は進退を明言していないが、福田県政を支える自民党側から続投を求められ、外堀を埋められつつある。

 自民、公明両党が支える福田知事は今年12月8日、5期目の任期満了を迎える。それに伴い、秋にも知事選があるが、立候補を表明した候補者はまだいない。

 福田知事が仮に秋の知事選で再選した場合、当選6回となる。全国知事会によると、これは全国の知事で過去5位タイの当選回数だ。現時点で当選6回の知事はいない。

 トップが長年変わらなければ、組織内の意思決定のあり方が硬直化し、活力が失われる恐れもある。「多選がネック」(自民党国会議員)との見方もある。

 福田知事は5月で71歳になる。知事は週末にも様々な行事が入り、公務で休めない日も多い。福田知事は「俺にも自分の人生がある」と周囲に漏らし、今期限りでの退任の意向を示唆していた。

 1月1日付の朝日新聞のインタビューでは「県内の若手政治家には上(のポスト)を目指して努力している人がたくさんいる。道をあけることも先輩の役割だ」と述べていた。

 県内では昨年までに、42年ぶりとなる地元国体や、初の政府レベルの国際会議「主要7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合」が無事に開催された。県政のひとつの区切りだった。

 しかし、福田知事は今年3月末にあった自身の後援会会合で、衆参の自民党国会議員やベテラン県議から6選をめざしての立候補を正式に要請された。福田知事は4月9日の定例会見で「私の想定したシナリオとは違う方向も、まわりから出てきてしまった」と思いを吐露した。

 背景として、県政を支える自民が中心となり後継候補を探したが、適当な人物が見つからなかったという事情がある。1月末の段階で、県連幹部の一人は「良い人がいないか探している。白紙だ」と話していた。

 福田知事は5月末をメドに会見を開き、出馬をめぐる意思表示をする考えを示している。

 福田知事が戦った過去5回の知事選はいずれも11月が投開票日だった。最も出馬表明が遅かったのが、初出馬だった04年の投開票2カ月前。それ以外の4回は8月以前に出馬表明を済ませていた。今後の対応に注目が集まる。

 一方、野党の立憲民主党県連は19日の定例幹事会で、知事選と宇都宮市長選について、8月末までに独自の候補者を擁立することを確認した。公募はしない方針だ。(山下龍一、石原剛文)

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 自民、公明両党が与党として支える宇都宮市の佐藤栄一市長(62)も今年11月27日、5期目の任期満了を迎える。

 宇都宮市長選は直近の5回、知事選と同日の投開票で11月中に実施されている。

 佐藤市長は進退を明らかにしていない。初出馬だった2004年は会見して立候補を表明したが、それ以降の4回の市長選はいずれも市議会の質疑に答える形で出馬を表明している。