核兵器の廃絶や平和の実現を訴えて活動する「高校生平和大使」の募集が、今年度も始まった。スイス・ジュネーブの国連欧州本部に、自分たちで集めた署名を届ける。今回は全国で24人が選ばれるが、大分では5月12日に派遣委員会による選考会があり、応募した高校生の中から1人を選ぶ。任期は1年間。

 高校生平和大使の活動は1998年から始まった。全国から大使が選ばれ、国連に署名を届けてきた。これまでの総数は約262万6千筆。コロナ禍の影響で渡欧できない時期も署名集めは続けられ、昨年は4年分の約62万5千筆を届けた。うち数百筆が大分県内分だったという。

 大分では昨年度、県立情報科学高校3年、小松杏(あんず)さん(17)が大使に選ばれた。広島や長崎で研修し、毎月1回ほどJR大分駅前などで核兵器廃絶を訴えて署名を集めた。大使には選ばれなかったが、応募した高校生たちが手伝ってくれたという。ジュネーブを訪問したほか韓国も訪ね、日本で被爆した韓国人や地元高校生とも交流した。

 小松さんは国連軍縮部ジュネーブ事務所に署名を提出した際、対応したメラニー・レジンバル事務所長が目に涙を浮かべたことを覚えている。「私たちの活動にはすべて意味があると思った。貴重な体験をして、多くを得ることができた」。一方、日本側の加害についても考えるようになった。

 「大使の任期は終えたが、私は一生、第26代の平和大使。平和実現の活動はずっと続けたい」

 高校生平和大使派遣委員会の共同代表のひとり、青木栄さん(62)は「いかに熱量をもって核兵器廃絶を訴えられるかが求められる。いろいろな世代の人に自分の言葉で語れる発信力も必要。そんな高校生に応募してもらえたら」と話した。

 大分の選考会では面接や2分間程度のスピーチ発表などがある。応募資格は高校生で、申込書を5月9日必着でファクスなどで派遣委員会事務局に送る。問い合わせは同事務局(097・534・3300)へ。(徳山徹)