【2020年9月18日 VSOLJニュース】

著者:前原裕之さん(国立天文台)

9月8日の夕方に新たな新星がさそり座の中に発見されました。新星を発見したのは群馬県嬬恋村の小嶋正さんと、静岡県掛川市の西村栄男さんです。

小嶋さんは9月8.423日(世界時、以下同。日本時では19時9分ごろ)に撮影した画像から、西村さんは8.447日(日本時では19時44分ごろ)に撮影した画像から、それぞれ独立に12等級の新天体を発見しました。発見の報告を受けて、千葉県の野口敏秀さんや山口県の吉本勝己さん、千葉県の清田誠一郎さんらによって観測が行われ、この天体が赤い色をしていることや、9月9日には13等級、11日には14等級と急速に暗くなっていることがわかりました。この天体の正確な位置は以下のとおりです。


赤経 17h23m41.93s
赤緯 -31°03′07.6″(2000年分点)

確認観測画像
確認観測画像(撮影:野口さん)

さそり座の新星の位置
さそり座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

岡山県の藤井貢さんによって9月10日に分光観測が行われ、この天体のスペクトルに幅の広いHα輝線が見られることがわかりました。また、藤井さんが13日と14日に行った分光観測や、南アフリカの口径11m望遠鏡SALTによって14日に行われた分光観測から、水素のバルマー輝線の他に、中性酸素やヘリウム、一階電離した鉄など輝線が見られるようになったことがわかりました。さらに、天の川の方向に見える重力マイクロレンズ現象や変光星の探査を行っているOGLEのデータから、この新天体と同じ位置の16等ほどの赤い天体が、増光の前には周期140日ほどの変光を示していたことがわかりました。

このようなスペクトルの特徴や増光前の変光の様子から、この天体は共生星と呼ばれる白色矮星と赤色巨星からなる連星系で、白色矮星の表面で起こった新星爆発によって急激に明るくなったと考えられます。

小嶋さんの新天体発見は昨年9月以来、西村さんの新天体発見は今年2月以来です。