第6戦アゼルバイジャンGPのパドックにダニール・クビアトの姿があった。

 クビアトは昨年までアルファタウリでレギュラードライバーを務めていたが、シーズン終了後にアルファタウリが角田裕毅の起用を発表し、レギュラードライバーとしてのシートを失った。その後、今年の3月2日にアルピーヌF1チームが2021年型マシン『A521』を発表した際に、リザーブドライバーにダニール・クビアトを起用することを発表。アゼルバイジャンGPには、アルピーヌF1のリザーブドライバーとして参加していた。

 今シーズン、クビアトは第3戦ポルトガルGPにも姿を見せていたが、話をする機会がなかったため、取材は2019年アブダビGP以来、今シーズン初めてとなった。

 リザーブドライバーは、文字通りレギュラードライバーに何かあった場合の『控え』のドライバーで、レギュラードライバーが事故や体調不良によってレースに参加できないような状況に陥った場合に代役として参加する。F1チームは1レースに2台が参加することを条件に多額のスポンサーマネーを得ているので、事故や体調不良だとしても、レースに1台しか参加できないという状況は極力避けたい。特に昨今のコロナ禍ではそのリスクが高く、リザーブドライバーの価値は高まっている。

 それ以外にも、リザーブドライバーはファクトリーでドライビングシミュレーターを使用してのマシンの開発にも大きく貢献している。

「最近は5月にドライビングシミュレーターに乗ったよ。非常に順調で、アルピーヌのマシン開発に貢献したいね」(クビアト)

 リザーブドライバーとしての話はこれくらいにして、日本人としてはクビアトに、アルファタウリのマシンの特性についても尋ねてみた。というのも、今年、アルファタウリからデビューした角田が、アルファタウリのアンダーステア傾向のマシンに手こずっているからだ。

「それはセットアップによるから、アルファタウリのマシンが特にアンダーステアが強いというわけではないと思う」とクビアトは前置きしたうえで、こう語った。

「アンダーステアだろうが、オーバーステアだろうが、与えられたマシンでできるだけ限界で走るというのがF1ドライバーの仕事だ。僕はそのマシンで昨年の終盤はチームメートよりも速かったよ」

 確かに昨年のラスト2戦の予選では、クビアトはチームメートのピエール・ガスリーを上回る成績を残していた。つまり、クビアトは暗に「自分がシートを失ったのは実力だけが理由ではない」ことと「自分は角田よりもいい仕事をしていた」ということをアピールしたかったのだと思う。

 アゼルバイジャンGPが終わったばかりの深夜のバクー国際空港で、再びクビアトとバッタリ。クビアトはモスクワ行きのアエロフロートの搭乗ゲートで搭乗開始を待っていた。

「次はいつグランプリに来るの?」と聞くと、「シルバーストン」とクビアト。そして、こう言った。

「リザーブドライバーは今年だけ。来年はレースに復帰したいね」

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