8月1日現地時間15時、第11戦ハンガリーGPの決勝が行われ、アルピーヌのエステバン・オコンがF1での初優勝を飾った。

 土曜の夜と午前中に強い雨が降ったものの、その後は晴れ間が広がってドライコンディションに。しかしスタート1時間前になって雲が多くなり、決勝の30分前に小雨が降り始める。路面は完全に濡れてダンプ状態になり、52度まで上がった路面温度はこの雲と雨で33度まで下がった。気温は27度。

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は予選後にパワーユニットにクラックが見つかったため今季3基目の新品に交換。予選で使用した今季2基目と同スペックであったため、ペナルティは免れて3番グリッドからのスタートに。Q2でクラッシュしたカルロス・サインツ(フェラーリ)はマシンを修復し、ギヤボックス交換はなくペナルティなしの15番グリッドから決勝へ。FP3のクラッシュで予選に出場できなかったミック・シューマッハー(ハース)は、最後尾グリッドからのスタートが許可されることとなった。

 ダンプ路面に合わせて各車ともインターミディエイトタイヤを選択してフォーメーションラップに臨む。アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)だけがフォーメーションラップの終わりにピットインしてミディアムに交換するギャンブルに出る。

 スタートでポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)が好発進を決めてトップを守り、2番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)は大きく出遅れる。イン側でタイヤをロックさせたボッタスはランド・ノリス(マクラーレン)に追突し、2台はターン1を真っ直ぐ進み、フェルスタッペンはノリスに、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はボッタスに横から接触されて押し出され、大きくポジションを落とした。

 イン側ではランス・ストロール(アストンマーティン)が止まり切れずシャルル・ルクレール(フェラーリ)とダニエル・リカルド(マクラーレン)に接触し、ボッタスとルクレール、ストロールはここでリタイアとなりセーフティカー出動となる。ペレスもターン11の先まで進んだもののコースサイドにマシンを止め、フェルスタッペンは1周目にピットインし新品のインターミディエイトタイヤに交換するが、ピットアウト時に右側のバージボードが飛ぶ。

 コース上には各所にデブリが飛散しており、2周目に赤旗中断となった。

 ターン1の多重事故によって隊列は大きく変動し、首位ハミルトン、2番手オコン、3番手セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)、4番手サインツ、5番手角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)、6番手ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)、7番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、8番手ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)、9番手キミ・ライコネン(アルファロメオ)、10番手シューマッハーの順となり、ペレスとボッタスを避けるために大回りしなければならなかったピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)は11番手、フェルスタッペンは13番手となる。フロアがリヤタイヤ前方まで激しく損傷していたノリスは、ピットに戻ったもののダメージが大きくリタイアとなった。

 赤旗中断の間に雨が上がり、レースは15時32分に再開。15台全車がインターミディエイトタイヤでセーフティカー先導でコースインして3周目をこなし、スタンディングスタートで4周目からレース再開となる。スタート前の4周目にハミルトン以外の全車がピットインしてミディアムタイヤに交換。グリッドからはハミルトンだけがインターミディエイトでスタートを切り、その後に各車がピットレーンから続々とスタートを切っていく。

 ハミルトンは4周目にピットインするがこれで最後尾まで後退。オコンがトップに立ち、2番手ベッテル、3番手ラティフィ、4番手角田、5番手サインツ、6番手アロンソ、7番手ラッセル、8番手ライコネン、9番手リカルド、10番手シューマッハー、11番手にフェルスタッペン、12番手ガスリーとなった。

 右側バージボードとフロアにダメージを負ったままのフェルスタッペンはペースが上がらず、ハミルトンは最速ペースであっという間に集団に追い着き10周目にはジョビナッツィを抜いて13番手に上がる。

 首位オコンと2番手ベッテルが後続を大きく引き離していき、3番手ラティフィはついていけない。4番手角田はタイヤのデグラデーションが進んでラティフィに迫ることができず、後方にはサインツが迫る。14周目のターン2でフェルスタッペンがシューマッハーをパスし、続いて15周目にはガスリー、16周目にはハミルトンもシューマッハーを抜いていく。

 前のガスリーに抑え込まれて抜けないハミルトンは19周目にピットインしてハードタイヤに交換する。これを受けてフェルスタッペンには全力を出し尽くせと指示が飛び、翌20周目にピットイン。しかし前のリカルドも同一周にピットインして抑え込まれてしまい、ハミルトンにアンダーカットを許してしまう。ハミルトンはターン1で大外からリカルドを抜いて2台のアンダーカットに成功し、前がフリーになったことでファステストラップを連発していく。

 角田は22周目にピットインしてラティフィのアンダーカットを狙う。角田の1秒後方にいたサインツはチームからのピット指示に対し、フリーエアではもっと速いペースで走れるとこれを拒絶。3番手ラティフィが翌23周目にピットインするが角田の後方でコースに戻り、アンダーカットを許した。27周目にはハミルトンがラティフィに追い着いて抜き去り7番手に上がる。フェルスタッペンはリカルドに抑え込まれ、シューマッハーを先頭とするトレインから抜け出せない。ハミルトンは32周目のターン4でアウトから角田をオーバーテイクして5番手へ上がった。

 30周目にガスリーがピットインし8番手へ。32周目にサインツもピットインしハミルトンの前4番手でコースに戻る。

 トップ争いは2台に絞られ、36周目に2番手ベッテルがピットインしてアンダーカットを仕掛ける。しかし静止時間は3.3秒とやや遅く、翌37周目に首位オコンがピットインして2.3秒で作業を終え、アウトラップでプッシュしたベッテルの僅か目の前でコースに戻る。しかしベッテルは諦めずオコンの背後でプッシュを続ける。3番手サインツは上位2台よりも速いペースで走行しトップ争いへと徐々に追い着いていく。

 39周目にアロンソが最後にピットインして角田の前5番手でコースに戻る。ガスリーは40周目のターン1でラティフィを抜いて7番手に上がった。その一方でマシンのダメージが大きくアンダーステアとオーバーステアが共存するというフェルスタッペンは40周目にピットインしてミディアムに履き替えた。

 サインツを抜けないと見たハミルトンは47周目にピットインして新品のミディアムに履き替え、ひとつポジションを落としてアロンソの後方5番手でコースに戻る。ハミルトンは1分18秒715のファステストラップを記録し、首位オコンより2〜4秒速いタイムで猛烈な追い上げを見せる。

 アルファタウリは49周目のターン1でタイヤがフレッシュなガスリーを先行させ、角田は7番手に下がる。フェルスタッペンは50周目のターン1でライコネンを抜いて11番手へ上がり、ラッセルを先頭とするトレインにも追い着いていく。

 ハミルトンは55周目にアロンソに追い着き、ターン2、そしてターン4でアウトに並びかけようとするがアロンソは老獪なブロックを見せる。ハミルトンは57周目にも再び仕掛けるが、同様にアロンソがインに飛び込ませず巧みにハミルトンのラインを消していく。63周目にもターン1から2、4でチャンスが訪れるが抜ききれず。しかしアロンソは65周目のターン1でインにブロックラインを取りながら入ったところで僅かにフロントをロックさせてワイドになり、ハミルトンは次のターン2でインに飛び込んでようやく4番手に上がった。さらに67周目には周回遅れのリカルドの影響を受けたサインツをターン1で抜いて3番手に浮上した。

 首位オコンは1.5秒後方にベッテルを従えながら最後までポジションを譲らず、アロンソが数周にわたってハミルトンの追撃を抑えたこともあってトップでチェッカードフラッグを受け、昨年サヒールGPに続く自身2回目の表彰台にしてF1初優勝を挙げた。2位には今季2回目の表彰台となるベッテル。そしてハミルトンは最後尾から追い上げて3位表彰台を獲得し、ドライバーズチャンピオンシップの首位に浮上した。

 4位には猛攻を凌ぎきったサインツ、5位にアロンソ。6位ガスリーは残り2周でピットインして中古のソフトタイヤに履き替え、最終ラップに1分18秒394のファステストラップを掴み獲った。角田裕毅は7位フィニッシュで8位ラティフィ、9位ラッセルとウイリアムズ勢がダブル入賞を果たした。

 フェルスタッペンは60周目のターン2でアウトからリカルドを抜いて10位に入り、1ポイントを持ち帰った。しかし手負いのマシンでは前のラッセルに追い着いても抜くことはできず、10位でレースを終えている。