2023年F1始動が近づきつつあるなか、ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、来るシーズンに注目する10の項目を挙げた。前編・後編に分けて掲載、今回は「新代表を迎えるフェラーリ」「アロンソとアストンマーティンの関係」「もう言い訳が許されないハース」「マグヌッセンはF1で生き残れるか」「メルセデスの将来のドライバー選択」について紹介する。
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■フェラーリ&新代表バスールが迎える重要な一年
リザルトを見ると、マッティア・ビノットはフェラーリのために良い仕事をしたといっていい。2020年にはコンストラクターズ選手権6位だったが、2021年には3位、2022年にはついに2位までランキングを上げることに成功したのだ。一方で、フェラーリのチーム代表としての時代を終えざるを得なくなったのも致し方ない。戦略上のミスが非常に多く、シャルル・ルクレールとは緊張した関係に陥った。彼が離職しなければならなかったのは、主にこのふたつのことが原因だ。
後任のフレデリック・バスールは、F1で最も政治的な環境を持つチームに身を置くことになる。そこでどれだけ優れた仕事ができるのか、非常に注目される。フェラーリで前回イタリア系以外の人間がチーム代表を務めたのは、1993年から2008年のジャン・トッドだ。バスールと同じフランス出身のトッドの時代に、フェラーリは14のタイトルを獲得した。ただ、その最初のタイトルは、トッドがスクーデリアに加入した5年後の1999年だったということを忘れてはならない。つまり、バスールが即座にチームの問題を解決するヒーローになると期待すべきではないということだ。F1ではコンストラクターズ選手権2位の座を維持するだけでも大変なことなのだ。
■アロンソとアストンマーティンの“ハネムーン”はいつまで続くか
ハネムーンはいつでも素晴らしいものだ。フェルナンド・アロンソは、アブダビテストでアストンマーティンに合流し、新チームでの初日を終えた後の彼の感想は非常にポジティブなものだった。
だが、アロンソとアストンマーティンの“結婚”に素晴らしい未来が待ち受けていると想像することはできない。
アストンマーティンのオーナーと経営陣は、セバスチャン・ベッテルとランス・ストロールのペアにさほど苦労しなかった。チームオーナーであるローレンス・ストロールの息子をチームはしばしば優先したが、ベッテルは事を荒立てることはなかった。だが、アロンソが入ることで、チームの雰囲気が一変する可能性がある。
アロンソは、41歳の今も大きな野心を抱いており、チームが自分に集中することを望み、自分の考えをはっきり示すことを恐れない。過去を振り返っても、彼がチームにとって扱いやすい人間ではないことは明らかだ。
アストンマーティンのチーム内で平和は続くだろうか。紛争が勃発するかどうか、というよりも、いつ勃発するのか、と考えた方がいいかもしれない。
■もう言い訳は許されないハース
2023年にハースがどのような成績を残すのか、興味深い。2022年には非常に有望なスタートを切り、開幕戦バーレーンGPでケビン・マグヌッセンが5位を獲得した。この時点でハースVF-22は、フェラーリとレッドブルに続く3番目に速いマシンだったと考えられる。ところが、シーズンを終えるころにはコンストラクターズ選手権8位に沈み、しかも9位のアルファタウリとの差は2点だった。
これまでもハースは似たようなシーズンを送ってきた。強力なスタートを切った後に、徐々に勢いを失っていくのだ。そして、言い訳もいつも同じ。「F1で最少のチームであるため、他チームと同じスピードでマシン開発を行っていくリソースがない」というものだ。
だがその言い訳は2023年にはもう使えなくなる。新たにマネーグラムというタイトルスポンサーを得たことで、ハースはバジェットキャップ規則で定められた制限額ぎりぎりまで予算を使うことができるようになる。それに加えて、2022年までにはポイント獲得にあまり貢献してこなかったミック・シューマッハーに代わって、ニコ・ヒュルケンベルグが加入した。さらにフェラーリエンジンはより一層強力になるものとみられている。つまり、ハースにとって2023年は非常に有望なシーズンになるはずなのだ。
■マグヌッセンの将来
ケビン・マグヌッセンとハースF1チームとの現在の契約期間は、2023年シーズン末までとなっている(ただし、チームは2024年のオプションを有している)。F1キャリア初期のマグヌッセンは、チームとの契約交渉をうまく進めることができなかった。マクラーレンでの2014年、ルノーでの2016年には、それぞれ当時のチームが契約更新に同意しなかった。
時が流れ、マグヌッセンは当時よりも賢くなり、成熟した。今年、2024年のシートにつながるようなパフォーマンスを発揮するかどうかが興味深い。
マグヌッセンがF1キャリアを続けられる場合、最も可能性が高い選択肢は、これまで5シーズンを過ごしたハースに残留を果たすことだろう。一方で、予想外の展開になる可能性もないではない。グリッド後方の小規模チームで2年以上とどまるドライバーは多くはない。大きなポテンシャルがあることを証明して上位チームに移るか、成績が悪ければ、F1から去ることになるか、大抵はそのどちらかだ。
2022年はチームメイトがミック・シューマッハーだったため、マグヌッセンがチーム内で優位に立つのは容易だった。だが、今年はニコ・ヒュルケンベルグが相手だ。マグヌッセンは、昨年より大きなプレッシャーのもとで戦うことになるだろう。しかし、それが彼の向上に役立ち、キャリア延長につながる可能性もある。マグヌッセンにとってベストのシーズン、2018年は、チームメイトのロマン・グロージャンからのプレッシャーによって、より優れたパフォーマンスを発揮できたといえるからだ。
■メルセデスのドライバー選択
トト・ウォルフ代表とメルセデスは、今年、重要な決断を下さなければならない。将来のドライバーラインアップのプランを確定しなければならないのだ。ジョージ・ラッセルは長期契約を結んでいるが、ルイス・ハミルトンの現契約は2023年末で切れる。リザーブドライバーとしてミック・シューマッハーが今年加入、ジュニアドライバーのフレデリック・ベスティは、2022年末のアブダビ若手ドライバーテストで起用され、F1初走行はとてもうまくいった。
ハミルトンは今年1月7日に38歳の誕生日を迎えた。メルセデスと契約を延長し、さらに5年間とどまるかもしれないとの発言も出ているが、現実的にはそこまでの長期契約にはならないだろう。だが、現時点でのパフォーマンスを見る限り、7度のF1世界チャンピオンが少なくともあと2、3年走るだろうことは間違いない。
しかしそうであれば、ウォルフは頭の痛い問題を抱えることになる。2024年以降にシューマッハーとベスティをどのように扱うかを決めなければならないのだ。リザーブドライバーのシューマッハーは、ブラックリーでシミュレーター作業に集中することになり、2023年はコース上で走ることはほとんどない。つまりチーム首脳陣の心を惹きつけるようなパフォーマンスを発揮するチャンスを得られず、2022年のハースでの結果からしても、メルセデスがシューマッハーのために2024年のレースシートを他チームで見つけることは困難だろう。
ベスティもシューマッハーと同じ問題を抱えている。2023年にFIA F2で圧勝したとしても、メルセデスが彼と他チームとのレースドライバー契約をまとめるのは難しそうだ。マクラーレンとアストンマーティンは2024年に空きシートがなく、メルセデスのカスタマーチームでシートが確定していないのはウイリアムズのみなのだ。
※後編に続く
【新シーズンF1読本(前編)】フェラーリに黄金期以来のフランス人代表。アロンソのハネムーン時代の限界点とハミルトンの去就

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